ミンツの弾くバッハの無伴奏バイオリン・ソナタ、パルティータ
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ずいぶん忙しい一日(と言ってもまだお昼だけれど…)だった。今日はもうおしまい。朝からなんとかスコアを完成させ、三部ほど製本し、郵送の手続を終えたところである。
歩いて一分のところに郵便局があるというメリットはこんなところで役に立つ!見直す時間はそれほど無かったけれど、まぁなんとかなるだろう。

良いお天気だ。忙しく立ち働いたので、汗だくに…。この歳で少し辛くなってきた。今年はじめて冷房を入れる。夕方になって涼しくなったら窓を開けて風を入れることにして、今は目先の涼しさにしがみつくことにする。
明るい窓の外を眺めながら、涼しい部屋で聞くのはやはりバッハの無伴奏に限る。昨日1500円でiTunestoreで買ったミンツの演奏する無伴奏バイオリン・ソナタ、パルティータを聞く。
この演奏は今から20年以上も前の録音なのだそうだ。色々とその時代のことを思い出してみても仕方がないので話を先に進めよう。
彼は私より歳が一つ上なのだけれど、その彼が20代前半でこのバッハの大作を録音したのだ。当時はシゲティ以外ではかろうじてヘンリク・シェリングの新録音が評価されていたものの、わかりにくい「精神性」などという言葉が一人歩きしていて、ミンツのような若手の演奏が注目されるのは難しかった時代であった。
今、改めて聞いてみて、この若いミンツの衒いの無い解釈は、実に清々しいものだと思った。それにその危なげのない技術!
シゲティの演奏にも大いに敬意を払う。あの演奏を美しいというのは少し勇気がいるのは事実だ。しかし虚心坦懐に耳を傾ければ、シゲティの並々ならぬ気迫と真っ直ぐな向き合い方に少々不安定なボウイングなどどうでもよくなってしまう。
でももっと若い時代にまとめて録音しておいてくれればとも思う。
エネスコの録音もそうした面は多分にある。

そこでこのミンツである。難所もピタリと決めていく気持ちよさは、先の巨匠たちの録音にないものだ。「掘り下げ」が、あるいは、「解釈に深みがない」などという批評に対しては、「どこが問題なのか説明せよ」と言いたい。どこもかも完璧ではないか!パルティータの舞曲的な表現も、ソナタの構成美も、彼の鮮やかなテクニックによって実に味わい深いバッハの音楽だけが耳に届いている。
これこそ私の理想とする演奏である。音色の趣味は私はもっと濡れるような蠱惑的な響きが好きだから、グリュミオーの録音を更に上に置くけれど、このミンツの録音もまた名盤として長く語り継がれるべきものである。
マイスキーが弾く無伴奏チェロ組曲についてはまた今度…。ひれにセイシェルのギターによるリュート作品が入って1500円(市販のCDは4639円)なのだから、ホントなの?と改めて訊いてみたくなる。
1500円が買いたい人はお急ぎになられた方が良い。せいぜい後一週間のものだろうから。
by Schweizer_Musik | 2008-06-16 15:18 | CD試聴記
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