最近は名曲の同曲異盤を買い漁るのは止めている。そんなに聞けないとやっとわかってきたからだが、それでも時々聞きたいという虫が騒ぐようで、シェイナの指揮するマーラーの第4番が評判が良いので買ってみた。
演奏を今聞き終わったところだ。確かに良い演奏。シェイナの代表盤の一つと言っても良いだろう。彼のスラブ舞曲を昔持っていたが、そんなに深い印象を受けた憶えはない。曲が曲だからか。このマーラーは、古い録音だけに多少のテープのワウ(回転ムラ)もあるが、総じて1950年の録音としては良い方だろう。 先日、ハイティンクのもの凄いロマンチックな演奏を聞いたばかりなので、比べてしまうのであるが、それにしても良い演奏だ。一言で言うならば、端正なスタイルの中で十分に歌い、よくコントロールされたアゴーギクの演奏ということか。 比較するならショルティの演奏が一番近いのではないだろうか。オケは総じて好調だ。弦の出来と木管はとても良い。弦の反応の良いアンサンブルはこの演奏の魅力の一つだ。ソロが使われているが、第2楽章の気味の悪い調弦のヴァイオリン・ソロも含めて大変上手い。この頃のチェコ・フィルのコンマスは確か後のスメタナ・クァルテットのノヴァークじゃなかったか?手元に資料がなく、うろ覚えで申し訳ない。この弦の魅力が発揮されるのが第3楽章であることは言うまでもない。大きな表現で、どちらかというと甘い幻想的な演奏とは対極にある、よく流れる気持ちの良いテンポで運ばれる演奏だ。これは指揮者の優秀さをよく表している。 一方、金管はやや反応が悪いというか、ホルンなど時にテンポに乗り遅れていたりする(第2楽章)。第1楽章では崩壊寸前でようやく立ち止まった部分もあり、現代なら録り直し、その部分だけ差し替えるのだろうが、そういうことも出来なかったのだろうか? 終楽章の独唱はマリア・タウベロヴァーという人だ。この人の経歴について、ライナー・ノートは全く触れていないが、「おかか1968」ダイアリーの中で書かれているので参照されたい。 ブルーノ・ワルターと共演してこの曲を歌ったというが、そうした経歴が頷ける実に美しい歌だ。ブルーノ・ワルターがチェコ・フィルを指揮しているとは知らなかったが、彼との共演から若いタウベロヴァーはおそらく多くを学んだことだろう。大きな見栄をきらず、端正な表現で穏やかに歌うこのスタイルは、ブルーノ・ワルターが指揮した演奏のいずれも聞くことができるものだ。これでなくては天使の歌ではないのだ・・・。 モノラルではあるが、名演である。ワルター、ハイティンク、良い演奏が居並ぶマーラーの4番である。 SUPRAPHON/COCQ-83865
by Schweizer_Musik
| 2005-03-01 06:58
| CD試聴記
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