歌劇「ドン・ジョヴァンニ」クリップス指揮
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作曲者 : MOZART, Wolfgang Amadeus 1756-1791 オーストリア
曲名  : 歌劇「ドン・ジョヴァンニ」K.527 (1787)
演奏者 : ヨーゼフ・クリップス指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団, ウィーン国立歌劇場合唱団, チェーザレ・シエピ(br/ドン・ジョヴァンニ), フェルナンド・コレナ(bs/レポレロ), シュザンヌ・ダンコ(sop/ドンナ・アンナ), リーザ・デラ・カーザ(sop/ドンナ・エルヴィラ), ヒルデ・ギューデン(sop/ツェルリーナ), ヴァルター・ベリー(bs/マゼット), クルト・ベーメ(bs/騎士長), アントン・デルモータ(ten/ドン・オッターヴィオ)
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これは、おそらくステレオのCDで出ているのではないか?私はLPで持っていたが、この演奏でこのモーツァルトの作品に親しんだので、思い入れがある。
ナクソスにあるのを発見し、多分20年ぶり位に聞いてみた。私がこの曲で取り出すのはカラヤンのものとジュリーニのものであるが、この演奏のことを忘れていたのはちょっと恥ずかしいなぁと思い始めている。
クリップスとウィーン・フィルの演奏は完璧だし、キャスティングがなんとも良いではないか!
チェーザレ・シエピのタイトルロールはこの録音の他にもフルトヴェングラーとの1954年(つまりはこの前年)のものもあり、これも当然ながら聞いているが、私はクリップス盤の方がずっと良いと私は思う。
スイスの名歌手フェルナンド・コレナのレポルロはこれしか知らないけれど「カタログの歌」はこの盤のコレナに勝るものなし!滑稽味の微塵も感じられないレポルロは、本当はジョヴァンニ氏を陰で操っていたのではと思わせるほど…。
この演奏で好きなのは、第1幕でツェルリーナとジョヴァンニが歌う「お手をどうぞ」。無敵のチェーザレ・シエピの歌に対して、可憐で何も知らない振りで実は計算高いツェルリーナが聞こえてくるようで、ニヤリとしてしまう。
こんなこと、若い頃なんども聞いていた時には分からなかったけれど、歳とって色々経験したからそう思うのかも…(笑)。
ドンナ・アンナ役のシュザンヌ・ダンコは今ひとつである。第1幕の終わり近く、「悪者の正体がわかったでしょう」と歌うには、やや怒りや憎悪が薄いように思う。これについてはカラヤン盤のアンナ・トモワ=シントウの歌が忘れられない。
リーザ・デラ・カーザのドンナ・エルヴィラもちょっと品が良すぎるように思う。これも無敵のカラヤン盤のアグネス・バルツァの歌に到底及ばない。
でもこれがウィーンの「ドン・ジョヴァンニ」なのだろう。チェーザレ・シエピの歌の凄さ、フェルナンド・コレナの脇役にはもったいないほどの存在感などがちょっとした物足りなさを吹き飛ばしてしまうのだ。
音も板起こしのモノラルにしては(CDは恐らくステレオ…のはずで、私の持っていたLPもステレオだったように思うが…)音が良いので聞きやすい。9.8000番台では超のつくお薦め!
by Schweizer_Musik | 2008-07-03 20:08 | ナクソスのHPで聞いた録音
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