夏…涼しくして音楽を聞こう -01. 夏の夜、水の上にて歌える
夏…涼しくして音楽を聞こう -01. 夏の夜、水の上にて歌える_c0042908_12452286.jpg

作曲者 : DELIUS, Frederick 1862-1934 英
曲名  : 2つの無伴奏パート・ソング「夏の夜、水の上にて歌える」(1917)
演奏者 : ジョン・ラター指揮 ケンブリッジ・シンガーズ
このアルバムは こちら
ちなみに弦オケ版はデル・マー指揮ボーンマス・シンフォニエッタの演奏でこちらです。あっさりした演奏がお好みならロイド=ジョーンズの演奏ではいかがでしょうか?

大阪の千早赤阪村というところに、祖母の実家があった。今は従兄が住んでいるけれど、それほど親しくおつき合いがあるわけでもなく、最近は年に一回ほど、墓参りのついでに少し立ち寄るくらいである。
子供の頃は夏休みともなると、祖母の家によく行ったものである。毎日そこで山や田んぼを走り回っていた。夜ともなると静かで、家の前の用水路(とても美しい水が流れていた…)の流れの音が寝間に静かに聞こえてきた。
そんな想い出に、この曲はピタリとはまる。ヴォカリーズ、即ち歌詞のない合唱作品はそう多くはないが、その中でもこの作品は白眉の一曲と言えよう。
この曲との出会いは高校の三年生の時だった。演奏者は忘れたけれど、ちょうどディーリアスにこっていて(評論家の出谷啓氏の影響大であった…)、この曲を聞いて後に、弦楽のための2つの水彩画を聞いて驚いたものである。同じ曲だったからだ。解説にそのことが書かれてあったけれど、まだプロ野球選手にあこがれる、どこにでもいる気弱な子供だった頃の、祖母の家の想い出とともにこの音楽はある。
あの水音は今もあるけれど、きれいに改築(地元のテレビが取材に来たほど面白い改築だったそうだ)されて、その音寝間に聞こえることはもうないのではないだろうか?
祖母が亡くなってから、疎遠となり、その家に泊まることなどはもうないだろうが、想い出が音楽と不思議に結びついて今もある。
歌詞が無いから、そのように自由に個人の心と結びつく余地を与えてくれたのだろう。
ダニエル・バレンボイムの演奏した「2つの水彩画」とともに私には想い出の作品である。

写真はグリンデルワルドからリフトであがったフィルストから歩いて30分から1時間(ノンビリ歩くとこうなるだけ…)で行けるバッハ・ゼーから見た景色。JTのポスターにも使われていたアングルの一枚。もちろん私が撮ったものです…。
風の無い日を選んで登ったもの。何度か行っているけれど、こんなにきれいに撮れたのはこの時だけだった。

7/14 03:00追記
boccheさんのご指摘の通り、リンクが間違っていました。弦オケ版(フェンビー編曲)の録音はハンドリーのものではなく、デル・マーのものでした。boccheさんご指摘のロイド=ジョーンズの録音もリンクを貼っておきました。
boccheさん、ご指摘、ありがとうございました。
by Schweizer_Musik | 2008-07-13 12:44 | 夏…涼しくして音楽を聞こう
<< 夏…涼しくして音楽を聞こう -... ユングヘーネルのよるバッハのリ... >>