友光雅司氏の"My Favorites" を聞いて
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CDタイトル : My Favorites
演奏者 : 友光雅司(pf)
CD番号 : Kantabile RECORDS/AFCD-0801

帰ると、古い友達からCDが届いていた。何だろうと思って見てみると、若いピアニストのCDが一枚。親戚の子らしく、応援しているのだけれどCDを聞いてみてくれとあるので、聞いてみた。
ピアニストの名前は友光雅司。岡山の生まれだそうだ。はじめて聞く名前である。曲はヒナステラの初期の有名曲である「アルゼンチン舞曲」Op.2のあとモーツァルトの幻想曲ニ短調、シューマンのアラベスク、ショパンの遺作の嬰ハ短調のノクターンが奏でられたかと思えば、バルトークの初期の「シク地方の3つの民謡」Sz.35aと有名曲「ルーマニア民俗舞曲」が流れ、続いてリストのスペイン狂詩曲、そしてガーシュウィンのなんと「アイ・ガット・リズム」が流れておしまいという次第。ついでにボーナス・トラック(必要なのかどうかわからないけれど…)ベーゼンで弾いたというモーツァルトの幻想曲ニ短調が収められている。
確かに「私のお気に入り」をランダムに入れたという感じで、解説もピアニストの思い入れをサッと言葉にしただけというシンプルなもの。
ここまで見てから聞き始めたわけだけれど、私がプロデュースするならこんなプログラムは絶対に反対するだろう。総花的に出すのでは、コンサート・ピアニストとしての「売り」が見えにくいからだ。
さて、プログラムに対してちょっと苦言を呈しておいて、聞いてみた印象を…。

若いなぁというのが率直なところである。素直な好青年のピアノである。だからもの凄い「灰汁」というか「個性」というか、ここでしか聞けない何かをもっと出しても良かったのではないか。
シューマンなど手垢の散々ついた作品をサラリと弾いて余情を感じさせるなどというのは名人がすること。若者はもっとジタバタした方が良い。ジタバタして作品と格闘してその先に何かが見えて(聞こえて)来るのではないか。
しかし、それを育てる周りの環境を整えてあげてほしい。ピアニストを、音楽家を育てる一番の肥料というか栄養は聞く人の存在なのだ。その人に届ける音楽を音楽家は磨くのだ。
瀬戸内の方々は若い才能をほったらかしにして枯らしてしまわないように、その才能が実をつけるように、いつも聞きに行って応援してあげてほしいと心から願わずにいられない。
音楽なんて、聞く人がいなければ育たないから!!

だからついでに一言!演奏家は更に聞く人を大切にしなくてはならない。聞いて下さるお客様に育てて頂いているのだ。精進するのは自分。でもそれは聞く人あってのことなのだから、まずお客様を大切にしなくてはならない。

だから思ったのだけれど、ライナーは出来ればちゃんとした人に書いてもらった方が良い。演奏会のプログラムでそうだけれど、聞きにきた人がその音楽がどういう経緯で書かれたのか知っている人なんてごくわずかなのだ。CDの解説だって一緒!。
良かったら私が解説だってなんだって書いてあげるよ!若い人を育てるためだったらお
金なんかいらないから、相談においで!

さて演奏に戻ろう。
ルーマニア民俗舞曲はコチシュのように灰汁の強い演奏を聞きつけてきた耳にはあまりにあっさりしていて…ちょっと面食らう。ただ何の裏付けもないままに猿まねのようにコチシュのような歌い回しをしてもダメで、その意味でこの素直な弾きっぷりに私は彼のピアニストとしての素直な資質に好感を持った。

スペイン狂詩曲を聞きながら、録音のまずさ(ピアノは良いのに…)に次第に腹が立ってきてしまった。ピアノの音の良いところを全くとらえておらず、ダイナミック・レンジは狭く、どうすればここまでヘボな録音をやれるのかと心配になるほど。
この演奏がヘボに聞こえるのは、百パーセント録音スタッフの責任。
これではピアニストがかわいそうだ。プロデュースももうちょっと考えてやればいいのに、全く無策…。
CDとしての評価はあまり…。でも彼の将来を聞くつもりで二度、三度と聞き返してみてこんなことを感じ、その思いを彼に伝えたいと思った次第である。
地方を拠点してピアニストとして生きていくのは、本当に至難の業だろう。がんばってほしい!!

写真はリストゆかりのヴァーレンシュタットの湖の写真第2弾(だったっけ…)。今日は本当に暑かった。日差しを痛いと感じた午後。久しぶりに電車の座る座席を東側をと意識して座った。なので、気持ちだけでも涼しげになりますように…。

そうそう、友光雅司氏は来る8月31日(日)14時より瀬戸田のベル・カントホールでリサイタルをされるそうです。
バルトークのブルガリアン・リズムによる6つの舞曲(とあるけれどミクロコスモスの第6巻の最後の6曲のことだと思われる)…なかなかに難曲!!や「展覧会も絵」を演奏されるそうです。シングル券2000円、ペア券3500円で前売り中。ぜひ尾道近辺のみなさん、聞きに行って下さいませ!
by Schweizer_Musik | 2008-07-24 18:40 | CD試聴記
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