ミューザ・サマー・フェスタでトゥーランドットを聞く
川崎にあるミューザで現田茂夫指揮神奈川フィルによる演奏会形式のプッチーニの歌劇「トゥーランドット」抜粋を聞く。
カラフは福井敬、リューを歌ったのは大隈智佳子(これが素晴らしかった!!)、トゥーランドットは岡田昌子他のキャストで、神奈川フィル合唱団と合唱指揮の近藤政伸氏が案内役としてストーリーなどを流暢に説明された。
yurikamomeさんにとっていただいたチケット代がなんとS席3000円。ホント、こんな値段で聞いていいの?と心配になるほどであった。
で、演奏は最高のもので、管弦楽、合唱はほぼ完璧だった。現田茂夫氏のバトンテクニックは、日本では最高水準にあると思う。コンマスの石田氏をはじめとする神奈川フィルのパフォーマンスも最高のもので、プッチーニのインスピレーションに満ちた素晴らしいスコアを完璧に音にしていく。あれは見事だった。CDでもこんな音を聞くことができることは滅多にない。まして実演では残念ながら皆無に近いけれど、数少ない例外がこの神奈川フィルというわけである。
今のこの組み合わせで聞く音楽は、聞き逃すのはもったいない!

歌はリューの大隈智佳子さんが素晴らしい出来で、2つのアリアをあんなにきれいに歌うとは!!色々聞いてきたけれど、今まででナンバーワン!の歌だった。あれが聞けただけでも私は昨日出かけた意味があったと思う。
もちろん福井敬氏の歌も心から堪能させていただいた。「泣くなリュー」と「誰も寝てはならぬ」も良い出来で、会場からブラボーが聞かれたのも当然だった。この役に合ってないと、ちょっと思ったことは否定しないけれど、彼のテクニックはそんなことを感じさせる隙間を作らない。さすがである。
トゥーランドットの岡田昌子さんも大変難しい役柄だと思うが、それをよくこなしていたと思う。大体、このトゥーランドット役を満足したことは今までほとんどなく、ただビルギット・ニルソンの2つの盤と全く対照的なカラヤンのリッチャレッリの歌で満足したに過ぎない。
ビルギット・ニルソンの切れ味鋭いトゥーランドット姫はドラマに緊迫感をもたらすが、リッチャレッリは薄倖の姫君の趣で、さてどちらを選ぶべきか…(笑)。
昨日の岡田昌子さんは切れ味のある歌唱で、ドラマを盛り上げていた。私はもう少し広がりのある響きが欲しいと思った。でも昨日のあの環境でそれを望むのは、あまりに贅沢に過ぎると思う。
合唱も素晴らしい出来であった。ピッチも決まっていて、さすがにオケの名を冠した合唱団である。これでこそ最高のパフォーマンスと言えよう。
ああ良い演奏会だった。勝手に神奈川フィルを応援する会のyurikamomeさんとご一緒させていただき、終わってからそのまま居酒屋で飲んで帰る。いや良い一日だった。
by Schweizer_Musik | 2008-07-28 07:50 | 神奈川フィルを聞く
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