作曲者 : DVOŘÁK, Antonín 1841-1904 チェコ 曲名 : 交響曲 第9番 ホ短調「新世界より」Op.95 B.178 (1893) 演奏者 : カルロ・マリア・ジュリーニ指揮 シカゴ交響楽団 CD番号 : Grammophon/POCG-6008 いや、なかなか良い演奏だ。この曲の演奏としてハードディスクに入れてあったノイマンの演奏を消去して、このジュリーニのものに入れ替えたところである。 録音は1977年というから、まだ手足が丈夫だった頃?のジュリーニで、晩年の録音のようにテンポも緩みがなく(円熟と言えば聞こえが良いのだろうけれど、私にはバーンスタインの晩年のものと並んで聞くに堪えられないテンポの演奏だった。ファンのみなさん、ごめんなさい!)この時期のジュリーニは本当に良い指揮者だった。1970年代のはじめの頃に録音していたマーラーの巨人も好きだった…(今頃になって思い出している程度で、情けないくらいだが…)。 ジュリーニの演奏は大体手を変え品を変えという感じで、聞き手の興味を逸らさない才走る指揮の対極にあるような演奏である。ちょっと聞いただけでは取っつきが悪く、平板に聞こえなくもない。 しかし、良いオケと組んでじっくりと練り上げた演奏は格別の味わいである。テンポは中庸。速すぎず、遅すぎず(少なくともこの頃までは!)深い呼吸で、大きな表現が特徴だ。せせこましい表現でなく、大きく大きく音楽をとらえていくので、スケールの大きな作品でツボにはまると凄い演奏となる。 この「新世界」はそうした特徴の最良のものの一つ。オケもショルティの治世であった当時の最強軍団シカゴ交響楽団が、懸命の熱演!良くないわけがない! そうそう、1977年だったか1978年だったか…大阪で私はショルティ指揮シカゴ交響楽団を聞いている。圧倒的な演奏だった。けれど、膨大な物量とパワーで圧倒されたという印象ばかり残っていて感銘というより「凄かった…」という印象ばかりだった。確かマーラーの五番だったと思う…。曲よりもパワー…だった。 しかし、このジュリーニの演奏はもっと呼吸が深く、音楽が立体的である。これこそ指揮者とオケの相性のようなもの(ショルティが悪いというのではない。個性というもので、楽譜を読み違えたりしている低次元の話とはまるで違う)だと思う。 それもこれもショルティの薫陶があってのことなのだろうけれど…。 しかし、久しぶりに「新世界」をまともに聞いてしまった。良い朝である。さぁ、仕事だ! 写真は郷里の八幡神社にある勧進杉の巨木である(写真の左の杉の木)。この前を通って小中高大と通ったのである。もちろん私はここの氏子である。新築なったお社の裏手に寄付した人のプレートがあって、私の名前もそこにある。 この八幡さまは、巨木の神社で、銀杏のとてつもない巨木と、境内のクスノキ、そして本殿のある斜面の杉の巨木と、木の好きな私としては心躍る?ところ。 長さ60メートルあまり、直径10cmほどのモチワラを結った太い縄を氏子たちが結ってこれを勧進杉と渓谷をはさんだ柿の木との間に渡し、豊作の願いとする風習がある。(写真の下に切れ落ちた縄があるのが確認できる) 私もここに住んでいたならば、年の初めにその村の仕事をしなくてはならなかったはずだが、成人してのち、ここに住んだことがないので、一度もしたことがない。 私の「風の記憶」はここの大銀杏の木がインスピレーションのもととなった。あの木の梢に吹く風が谷を渡り、山を越えていくのだと…。
by Schweizer_Musik
| 2008-08-05 07:18
| CD試聴記
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