夏…涼しくして音楽を聞こう -25. ダンスリー・ルネサンス合奏団のサティ
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作曲者 : SATIE, Erik 1866-1925 仏
曲名  : いろいろ…
演奏者 : ダンスリー・ルネサンス合奏団
CD番号 : ジュ・トゥ・ヴ/サティとダンスリーと_DENON/33CO-1289

サティの音楽の一部に限るけれど、様々な編成にアレンジされて聞かれている。私も半年あまり前、「風変わりな美女」をサックス四重奏用にアレンジをしたけれど、あれはうまくいった。
大体、サティの音楽ってがっちり書かれていて、色々な編曲に耐えるところがあり、思いの外不思議な音楽なのだ。
そのたくさんある編曲物のCDの中で、私が一番好きなのが神戸の団体であるダンスリー・ルネサンス合奏団によるこのアルバムである。
サティがルネッサンスの音楽に変身してなんとも涼やかで気持ちが良い。なるほどこういうアレンジの可能性があったのかと驚いたものであるが、この素晴らしいCDは買ったのが今から20年ほど前。今はどうも廃盤のようで、ここでとりあげるのはいかがなものかと思ったけれど、夏になると彼らの涼やかな響きが懐かしくなり、私の季節物というか風物詩のようなものになっているので、ご勘弁の程を…。
しかし、リュディオン(潜水人形)のような近代和声とルネッサンスの響きとのマッチングの素晴らしさ!!これはまさしくコロンブスの卵だった。様式に対する先入観がどれだけ豊かな創造の世界を阻むものか、痛感させられる。
何年か前、クラシックの名曲に歌詞をつけてポップス・ソングを作って出そうという企画を出したことがあった。良い線が見込めると思ったのだが、歌の大先生が、作曲家を冒涜すると強硬に反対したためボツになったことがある。
その直後だった…ジュピターが大ヒットしたのは…。亡くなったミュージカル・スターによるクラシックのアルバムもその後ヒットし、自分の考えは正しかったと思ったものだが、アホな大先生のおかげで…ああ悔しい!!
愚痴を一つ言ってみましたが…(笑)、このサティのアルバムを聴きながら、自由な発想がどれだけ大切か、考えている。
きっと、このアレンジを聞いて天国のサティは皮肉の一つでも言って笑っているのではないか。「今度はトゥルヴェールかミンネジンガーにでも生まれなくてはならないようだね」と…。

写真はストラヴィンスキーが住んだレマン湖畔の町、モルジュの夜の風景。
この夜の風景は、ストラヴィンスキーがここに住んでいた頃からほとんど変わっていないに違いない。この風景の中に、あの丸眼鏡をかけた偉大なおじさんが歩いていたと思うと、何とも味わいのある風景だと思いませんか?
by Schweizer_Musik | 2008-08-12 09:09 | 夏…涼しくして音楽を聞こう
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