2006年 08月 16日 ( 1 )
今日の一曲 (2)
今日の一曲はヒナステラ。彼は初期は民族的な素材から出発し、彼の世代として前衛であった十二音などの洗礼を受けて独自のスタイルを確立していったと考えられる。
代表作として知られるバレエ音楽の「エスタンシア」がやはり有名だが、ヴァイオリンとピアノのための「パンペアーナ」もまた傑作として知られるが、「エスタンシア」は初期のスタイルを代表するものとして、そして「パンペアーナ」は中期の自己のスタイルを確立した作品としてぜひ聞いてみてほしいものである。しかし、今回はそれらは取り上げない。
その彼の出発点でもある作品と言える初期の作品から「アルゼンチン舞曲集」を紹介したい。
第1曲「年老いた牛飼いの踊り」はリズムのとても面白い作品。ちょっと無調っぽいが、調性を放棄しようなどとはおそらくは考えていなかったはずで、リズムを際だたせるために調性を曖昧にしたようだ。
第2曲「粋な娘の踊り」はこんなきれいな曲が、まだ人知れずに埋もれていることが不思議なほどきれいな小品!聞いたことがないという人はぜひ!!
第3曲は「はぐれ者のガウチョ」。ガウチョとは牧童のこと。明るいガウチョの踊りが目に浮かぶようだ!

さてCDはチューリッヒ在住の津田理子さんが2000年に録音したヒナステラ・ピアノ曲全集に含まれる演奏以上のものは今もって聞いたことがない。美しい第2曲はアルゲリッチやバレンボイムも演奏しているのだが、今ひとつで推薦できかねる。それらで知っているという人もぜひ津田さんの演奏を聞いてみてほしい。
うっとりさせる音、表現だ。これでないと!!日本盤で出たこともあり、その時はレコ芸で特薦となっていたが、そうしたことはともかく、皆さんの耳で彼女の極めて優れた音楽性と、ビロードのような美しいタッチを確かめてほしい。
アルゲリッチやバレンボイムを私はあまり好まないのだが、その理由を聞き比べればわかっていただけるのではないか?
こんな曲で…なんて言わないでほしい!!こんな曲だからこそ、こういう魂のこもった演奏でないと感動できないのだ。

ヒナステラピアノ曲全集/Cypres/IDC-6506(CYP-1625)
by Schweizer_Musik | 2006-08-16 20:10 | 今日の一曲