2006年 08月 27日 ( 1 )
今日の一曲 (11)
少し涼しくなってきたようで、久しぶりに暑苦しい夜から解放され、ゆったりと眠ることが出来た。涼しくなるともうすぐ新酒のワインが出回るなぁなどと考え始めてしまう。そんなことを考えていたらウィーンのホイリゲを思い出した。あそこは楽しかったなぁなどと思いつつ、そういえばと取り出したのはエーリッヒ・クンツの歌ったウィナー・リートのCDである。
何枚かあるエーリッヒ・クンツのCDでも「母さんはウィーンの女だった」が入っているアルバムと「古い小径をしみじみ行けば」が入っているアルバムは特にお気に入りで、ウィーンから帰ってきた頃は一日中かけていたものだ。それで久しぶりにかけてみた。で、やっぱり良いんだなこれが!!
酸いも甘いもかみわけた人生の達人が優しく昔を懐かしみながらしみじみと歌う…これがウィナー・リートの神髄ではないだろうか?基本的に後ろ向きの音楽であり「昔は良かった」という歌が多いのだが、そんな歌を聞いて(あるいは歌って)ホイリゲの夜は更けていくのだ。
エーリッヒ・クンツは、いくつもの歌劇の録音で知っている。が、私はそれらの立派さを認めつつもこのウィナー・リートの素晴らしさこそ彼の真骨頂だと思っている。特にテイチク、学研などいくつかのレーベルから人知れず?発売されたいくつかのアルバムは、このジャンルの最高のものが含まれている。
「酒蔵通い」なんていう歌はたった八小節の歌で歌詞は二番まで。エーリッヒ・クンツはこれを一分ほどで歌う。歌い進める内に次第に酔いが深くなっていく様子が、実にユーモラスに歌われていて、これぞ達人の芸と思う。また、「おバカなちっちゃなお茶っぴい」での優しげな歌い回しにしびれ、"Hinter Grinzing Am Berg Liegt Der Himmel"という曲(どういう意味かわかります?)での元気な様子は、かつて5時から男だった頃の会社が終わる時間の私の心を見事に歌い上げられてしまっている…(笑)。そして、「ワインのおかげでね」としみじみと歌われるともう駄目…。明日航空券をとってすぐにでもウィーンに行きたくなってしまう。
ホイリゲをご存知だろうか?新酒のグリンツィングの付近でとれたワインを飲ませる居酒屋というか、オープン・カフェというか…。これが良いのだ。松の枝が軒先にあるのが営業中の印。それを確認しておそるおそる入っていくと、中庭に出る。ここでワインが振る舞われるのだ。全てジョッキでくる。作り方が悪いのかどうか知らないが、少し炭酸が入っているそれは、なかなかに口当たりがよく、何杯でもいけそうだが、日本酒程度のアルコールが入っているのでお気を付けあそばせ…。一杯250ml。だから3杯も飲めばワインを一本あけた勘定になる。私ははじめて行った時、周りの観光客(カナダ人やオランダ人、イスラエル人たちだった)とワイワイ騒いで、完全にわけがわからなくなってしまった。確か三件ほどはしごをしたのだが、最後には私を含めた一団は15人くらいだったと思う…が、全くどこにどう行ったのか憶えていない。というか、そこからホテルにどうやって帰ったのかもわからないが、私は泥酔泥棒にあうこともなく(実に運が良かった!)ホテルの私の部屋で目覚めた。
二日酔いが酷かったことも、懐かしい思い出だ。だからといって観光をやめてホテルで寝ているなんてもったいないことはできない。二日酔いをおしてウィーンの美術館などを見て回ったが、ずっと吐き気に襲われていた。昼食はスープを一杯だけ。でもそれでようやく吐き気がおさまり、次第に元気が出てきて、夕方になると再びホイリゲへと向かったのだった。全く懲りない奴でして…。酒飲みなんてこうしたものだ。基本的にだらしないのだ(笑)
で、今日の一曲はクラトキーの作った「酒蔵通い」という曲。
エーリッヒ・クンツの歌を愛するならば、ぜひ一度お聞きになることをお薦めする。
by Schweizer_Musik | 2006-08-27 08:14 | 今日の一曲