2006年 08月 28日 ( 2 )
今日の一曲 (12)
ラヴェルのソナチネを…。
この名曲と格闘していたのは、高校生の最後の夏だった。もちろん一番優しいという第1楽章である。(第3楽章なんて全く手が出ない状態だった…苦笑)下手くそな私のテクニックでは、ラヴェルに申し訳ないばかりであったが、しかし、この見事な作品の片鱗を体験することができたことは、実に貴重な体験だった。
いくつかの編曲版が出ているが、この作品も「夜のガスパール」「水の戯れ」等と同様、ラヴェルはオーケストレーションしていない。確かにやりたくなる気持ちもわからないではないが、これをオーケストレーションして人々を納得させられるのはラヴェルしかいないだろう。しかし、私も挑んでみたい課題ではある。
第1楽章のテーマは、どう考えたってソナタの主題というイメージからほど遠い。ソナタをベートーヴェンやモーツァルト、ハイドンでしか考えていなかった私には、当時、この曲はとても異質なもののように思えていた。歌謡的な第1テーマに長い音符で響きをたっぷり聞かせる第2主題。2つのテーマを使ってどんどん発展していく展開部に正確に型どおり繰り返される再現部。ぐうの音も出ないほど完璧なソナタ形式でできているのだが、ハイドンやベートーヴェンで知っているソナタ・アレグロとは全く異なる抒情的な美しさに、私はとても驚いたものだ。
考えてみたら、こうして一つの型に当てはめて思いこむことは音楽では大変間違った結果を生むことは過去の多くの名曲に対する愚かな評論家の批評によって証明されているではないか!モーツァルトのピアノ・ソナタだって、ベートーヴェンのソナタだって色々ある。月光ソナタの名前で有名な第14番の第1楽章も、あまり語られないがソナタ形式なのだ。

つまらないことで興奮しても仕方ないので、この曲の好きな演奏について。私はデ・ラローチャによる演奏(BMG/BVCC-650(09026-60985-2)が知情意のバランスがとれていて、とても好きだ。高校生の時はアルゲリッチの演奏なども好きだったが、今はあまり聞かない。ただ、大変な名演であることは間違いないが…。
有名なコルトーの録音(Biddulph/LHW 006)もあまりにも古い録音であることを乗り越えて、今も時々聞く。しかし、ロベール・カサドシュ(SONY/MP2K 46733)もそうなのだが、この第3楽章のテンポが速すぎて音楽のディティールを崩しているように思うので、私の評価としては今ひとつである。
というわけで、ソロで聞くなら、私はラローチャになるのだ。
一方、編曲版もいくつかあるようだが、私が持っているのはカスパロフ編曲による室内管弦楽用のものと、キャロル・ザルゼド編曲によるフルート、チェロ、ハープのための三重奏版(ETCETERA/KTC 1021)だが、私はこの三重奏版が大変気に入っていて、よく聞く。今も手に入れば良いのだが…。
by Schweizer_Musik | 2006-08-28 21:19 | 今日の一曲
音楽のダウンロードを見限ることに…
iTuneのMusic Storeで昨年、登場直後にはよくダウンロードしていたのだが、問題点は全く改善されない状況で、半年以上購入するのを止めている。何故か?値段が高すぎるのだ。CDの価格がいくらが適当であるかはともかく、ライナー・ノートはなく、歌曲などでは歌詞カードもない。更にジャケットなどのパッケージはなく、データの転売は出来ないというものが、ほぼCDと同じ価格(約2割ほど安い程度だ)で普通に購入する気になれという方が無理な話である。
例えば、下野竜也指揮大阪フィルハーモニー交響楽団によるブルックナーの交響曲第0番のデータが全曲で2400円。で、録音データなどは全く明らかではなく、いつ、どこで録音されたのか、プロデューサーは誰であったのかなどもわからない。こんな売り方をするレーベルは全く信用に足りず、このレーベルが出している全てを私は購入する気になれない。
その演奏が録音され、製品になるまで、誰がどういう責任をもって作ったのかを私は明らかにするべきだと思う。別にどういう録音機材を使ったのかまで明らかにせよとは言わない。しかし、プロデューサーによって録音の出来不出来は大きく異なるものだし、製品について、誰も責任をもっていないということに等しいものを、どう信用せよというのだ。
また、一生懸命探してようやく見つけたフリッチャイ指揮ベルリン・フィルによるベートーヴェンの第九の録音。果たしていつの録音なのか、デジタル・リマスターを誰がやったのか?などの情報は全くない。これで1500円である。1500円が高いかどうかは何とも言いようがないが、アマゾンでこの録音と同じCDは税込みで1734円である。あなたはライナーも録音についてのデータも何もないし、他のコンピューターで聞くことも出来ないこのデータを1500円で安いから買うか、転売も可能な、ライナーも録音データも明示されている1734円のCDを買うか、あなたならどうする?

アメリカでタワーレコードが倒産して、日本の方は大丈夫かと言われている。まず市場は狭くなるだろうが、いくつかのメディアで指摘されているように日本にはレンタル店という独自の市場があるので、残ることだろう。
まぁ、クラシック音楽のデータ販売をきちんとできるだけのノウハウを持たないレーベルと、データのダウンロードを阻む著作◎×△会が、時代に逆行し、愛好家を無視して自分たちの権益を守るのにキュウキュウとしている限り、データのダウンロードに私は未来を描くことは出来ない。
欲しいと思った頃に、廃盤で聞くことができないということが無くなるのではと思ったのだが、一年経って、全く充実しない状況に私はもう見限ることにした。
by Schweizer_Musik | 2006-08-28 15:51 | 日々の出来事