2006年 08月 29日 ( 1 )
今日の一曲 (13)
ダンディの「フランス山人の歌による交響曲」について
先週の金曜日から学校がはじまり、今日は専攻実技なので、レッスンをすれば良いだけなのだが、明日は極めてしんどい一日が待っている。
その授業でバルトークの弦・チェレをやる予定なのだが、まだ内容が定まっておらず、ソナチネでもやって明日は乗り切ろうかと考え直しはじめたところである。モードもそうだが、中心軸システムや黄金分割など色々説明しなくてはならないのが大変だ。
されはともかく、先日、高木東六氏が亡くなったと新聞に出ていた。彼があるテレビ番組で「ダンディのフランス山人の歌による交響曲の終楽章のピアノ・パートを弾いていたら、もうどこまでやったのかわけがわからなくなってしまって…」などと話していたことがとても印象に残っているのだが、彼はエコール・ノルマルでこのダンディの弟子だったのだ。
それまで、二葉百合子が歌った「水色のワルツ」くらいでしか知らなかった高木東六氏を見直すきっかけになった話だったし、彼ほど私が知らない作曲家も珍しい。ほとんど彼の音楽を聞く機会がないままに、今日を迎えているといって間違いはない。「朝鮮風舞踊組曲」など高く評価を受けた作品ぐらいCDになっていないのだろうか?戦中の音楽であり、日本の傀儡政権時代の話だから「いけない」音楽なのだろうか?
せめて、高木東六氏がピアノ・パートを弾いたダンディの「フランス山人の歌による交響曲」ぐらいはどこかの放送局のアーカイブに残っていないものかと思う。

この「フランス山人の歌による交響曲」は、ミュンシュの演奏ではじめて聞いて以来、私の大好きな音楽となっている。ダンディは色々聞いたけれど、この曲ほど好きになったものは残念ながらない。Symphonie C思enole(セヴェンヌ交響曲) とも言われるこの曲は、ダンディが35才の時に書いた作品で、
ある。
彼はモンテヴェルディなどの古楽の復興にも力を尽くした人物であったことは意外と知られていない。(私も実は最近になって知ったことだ)しかし、それは彼の作品において、ワーグナーとともに大きな影響を受けている。また、第一次世界大戦中はあまり作品を残していないようだが、交響曲第3番「勇敢なフランス人」"De Bello Gallico"」を書いて、愛国心を表明している。
戦後、コートダジュールに移り住んでからは魅力的ないくつかの作品を残している。そしてそれらにはドビュッシー、ラヴェルの影響が色濃く、とても面白いことだと思ったものだ。(「海辺の詩」の第2楽章「藍色の歓び - ミラマール・デ・マジョルカ」なんてダフニスのあの有名な夜明けの部分そのものではないか!(実は私も大学の卒業作品であったピアノ協奏曲で拝借した…)
しかし、そういう側面以上に、後期はバロック音楽的なアンサンブル作品などを書き、作風が新古典主義へと傾斜していったようにも思える。
話がそれてしまった。ダンディは、セヴェンヌ地方を愛し(貴族の末裔であり、城館を持っていた?)その風光にインスピレーションを受けて「山の夏の日」という管弦楽作品やピアノのための「山の詩」などを書いているが、やはりこの「フランス山人の歌による交響曲」が最も有名であり、最も優れている。

演奏は古くミュンシュがボストン交響楽団を指揮しニコレ・アンリオ=シュヴァイツァーがピアノを弾いた1958年の録音(RCA/09026-62582-2)。
セルジュ・ボード指揮パリ管弦楽団とアルド・チッコリーニのピアノによる1975年の録音(EMI/CDM 7 63952 2)。
ペーター・マーク指揮ベルン交響楽団による1985年の録音(CONIFER/CDCF 146)。
マレク・ヤノフスキ指揮フランス国立放送フィルハーモニー管弦楽団の1991年の録音(Warner Classics/0927-49809-2)。
ユージン・オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団とロベール・カサドシュのピアノによる1959年の録音(SONY/50DC 941〜2)。
以上の録音が良かった。特にマークの録音には最も愛着がある。
最新の録音は聞いていないのでわからないが、デュトワあたりは良いかも知れない。またいろんないきさつがあったのかも知れないが、エルネスト・アンセルメは録音していないようだ。これはちょっと不思議な気がした。
by Schweizer_Musik | 2006-08-29 05:44 | 今日の一曲