2007年 02月 28日 ( 1 )
ヴァント指揮ミュンヘン・フィルによるシューベルトのザ・グレイト
ヴァントがミュンヘン・フィルを指揮したシューベルトの交響曲第九番(新しいナンバリングでは8番)を聞く。ライブ特有のノイズはあるものの、充分なクオリティの録音で、演奏もまた素晴らしい!
こんな良い演奏を定額サービスで聞けるのはナクソスのおかげ。聞かないでおいては罰が当たるとばかり、昼真っから飲んだくれて寝ていたのを、夕飯のために起き出してから食べながら聞く。
2度聞いた。2度目は酔いも醒めてまぁ何とか物を書けそうな状態になって聞いた。ヴァントはテンポを動かさない指揮者のように思われている部分も無きにしもあらずだが、この演奏での大きなテンポの変化はちょっと驚かされる。ベルリン・フィルとの演奏でもそうだったか今は記憶が定かではないが、ケルン時代のスタジオ録音ではそれほど目立ってテンポを動かしてはいなかった。しかし、ミュンヘン・フィルを振ったこの演奏では、場面に合わせて細かくテンポを設定しているように思う。そのおかげで、それぞれの性格が強調され、音楽が立体的に聞こえてくる。興奮のあまりにテンポが速くなるというアチェレランドなどではなく、微妙にテンポが設定されているもので、ルバートとももちろん違うが、それがやはりこの曲ではとても効果的だと思う。ただ第1楽章のコーダのテンポは私はもう少し速めに入った方が良いように思うが…。
第2楽章でもこの演奏スタイルはとても効果的で、音楽の場面場面を明確に描き分けていくことになっている。所々、金管が突出して雰囲気を壊していると思われるところもあるが、クライマックスへ向かって緊張を高めていく呼吸の良さは絶品だ。さすが、並の指揮者ではない。初めてこの曲を聞いた。ミュンシュの録音も好きだったし、フルトヴェングラーやベームも夢中になって聞いたものである。が、このヴァントの演奏もそれらに比肩する素晴らしいものだと思った。
第3楽章は、ヴァントの柔軟で弾むリズムと伸びやかなカンタービレとの対比が絶妙だ。レントラー風のいくぶんのんびりとしたトリオのどこか悲しげな響きをヴァントは決して聞き逃していない。ワルターの録音で聞かれたこのデリケート極まりない指揮術は、ヴァントのものでもあったのだ。しか、この楽章、演奏によっては必ずと言って良いほど退屈させてくれるのだが、いつまでも聞いていたと思わせられたのは久しぶりのことだった。(この楽章をもう一度聞くために、全体を聞いてからもう一度1楽章から聞き返してみたくなったのだった)
終楽章の冒頭のホルンの効果がこれほど明確に聞き取れる録音も珍しい。なるほどこうなっていたのかと、かなり得をした気分である。落ち着いたテンポは第1クープレでわずかにテンポを落とし、メロディーの抒情的な性格を浮き立たせるあたりはもう神業である。金管(特にトランペット)は若干品の無い音で白けさせてしまうが、この演奏の欠点と言えばこれくらいではないか?
良い演奏である。買うと2000円弱だそうだ。円安のせいだろうか?最近輸入盤だからと言って安く感じないことが多いが、ナクソス・ライブラリーは安い!!私のような貧乏人にはありがたいシステムである。(何と言ってもショップに行かなくてもよいのだから…)
by Schweizer_Musik | 2007-02-28 23:57 | ナクソスのHPで聞いた録音