2007年 12月 24日 ( 2 )
フレディ・ケンプのバッハのパルティータ第4番と第6番を聞いて
バッハのパルティータをフレディ・ケンプの演奏で聞く。心地よいピアニズムに朝からぐだぐだと仕事をして、集中していなかったことで余計に疲れている愚かな私の心を癒してくれる。
多彩な音色は第4番の第1曲のAllegroでの軽快なタッチや、第2曲のアルマンドでの息の長いメロディーを繊細きわまる歌い回しと、絶妙な音色の明暗の対比で表現し尽くすなど、聞いていてどこまでも美しいばかりである。
ため息が出たのは第6番のサラバンドの出だし…。こんな音、久しぶりに聞いた。
この美しい演奏をどう表現していいのか分からない。ナクソス・ミュージック・ライブラリーにあるので、バッハをピアノで演奏することがバッハへの冒涜と考えている人以外はお聞きになられることをぜひお薦めしたい。
これを聞きながらの昼食は何とも贅沢なことに思われた。けれど、音楽に集中してしまい、何をどう食べたかよく分からなくなってしまった。今年聞いたベストの一つになりそうだ。今年もあと10日をいつの間にか切ってしまった。
午後は音楽を聞いて過ごそう。
by Schweizer_Musik | 2007-12-24 13:01 | ナクソスのHPで聞いた録音
冬の夜の慰めに (20) オルウィンの弦楽四重奏のための3つの冬の詩
イギリスの作曲家にして詩人、美術もよくする言語学者という多才な人であったウィリアム・オルウィンが1948年に書いた弦楽四重奏のための3つの冬の詩を20回記念にとりあげよう。
第1曲が、冬の風景 "Winter Landscape"
第2曲が、悲歌「凍った水 "Frozen Waters"」
第3曲が、セレナーデ「雪のシャワー "Snow Shower"」
これでたった9分ほどの短い作品。
でもクリスタルな響きでとてもユニークな世界がこの作品にはある。
時に少々気難しいこともあるウィリアム・オルウィンであるが、この曲のオルウィンはとても人なつっこい。
どこと言って何かあるわけではないけれど、何度でも聞いていたくなるような音楽だ。
独自の12音技法を編み出したとか言われているけれど(Wikiの記事による)、私はよく知らないし、この作品がそうなのかどうかもよく分からない。
でも12音を使っているようには思えないけれど、微妙に伝統的な調性感から外れているようだが、不協和な響きはあまり強調されておらず、聞きやすい作品だと思う。
いや、そんな外面的なことよりも、一曲目の悲しげで孤独感にさいなまれるかのような出だしは私の心に冬景色を思い起こさせた。
以下、個人的な想い出話で恐縮だけれど、その光景を書いてみたい。
九州に住んでいた頃、筑豊の講師さんたちがコンサートをするというので、その指導とアレンジの手直しなどをしに飯塚に出かけ、その帰りが遅くなったために、楽器店が手配してくれたタクシーで久留米の家に帰ったことがあった。
夜遅く、峠越えをしたのだったが、その夜はよく晴れた月夜で、うっすらと積もった雪景色がどこまでも黄金色に輝いて見えたのだった。
物寂しさと神々しさの対比は、何度も見てきた冬景色の中でも白眉だった。
そんな雰囲気がこの曲から聞こえてくる。
第2曲の「凍った水」の響きは、水を凍らせた空気を表しているようにも思えてくる。そしてどこかクリスタルな響き…。それは悲歌と呼ぶのにあまりに相応しいように思う。
3曲目のセレナードはその正反対の躍動感が身上である。小さな動機をくり返してフレーズを形作り、確かに雪の舞う有様を思い起こさせる。
なんて魅力にあふれた作品なのだろう。

ブリッジ弦楽四重奏団の演奏はもっと響きに美感があればと思うけれど、この作品を味わうにはまず不足はない。
ナクソス・ミュージック・ライブラリーの中にある。
by Schweizer_Musik | 2007-12-24 04:45 | (新)冬の夜の慰めに…