2008年 04月 09日 ( 3 )
春はあけぼの…音楽を聞こう -31. バッハのピアノ協奏曲 ホ長調 BWV.1053
明日は雨のようだ。プロ野球中継を見ていて甲子園に雨が降り始めたというから、明日はこの雨がやって来るのかなと思ってみていた。
菜種梅雨と呼んで良いような、すっきりしない毎日だ。まっ、昨日のような嵐にはもうならないでほしい。桜が散ってしまう…。
c0042908_20751.jpg今日のわずかな日差しが戻ってきた昼下がりに撮ってきた若葉の写真。散歩の途中の古そうな木造の家に向かう枝から伸びる若葉。光線の対比が印象的だった。
さて、春はあけぼの…シリーズはそろそろ終盤戦にさしかかった。今日はさすがにヴィヴァルディの「春」でもあるまいし(別に曲がつまらないというのではない。ただ、私がここで取り上げなくてもと思うのだ)…、ということでバッハの同じ調性のチェンバロ協奏曲をピアノで弾いたものをとりあげようと思う。
カナダのバンクーバーのオケの指揮をしているマリオ・ベルナルディは1930年にカナダ、オンタリオ州カークランド・レークに生まれた指揮者であるが、録音数が半端でない上にクオリティもかなりのものが多い。
メジャー・レーベルから出ている音楽家だけが大音楽家でないのは分かっているつもりでも、なかなかこうした音楽家が抜け落ちていくのは仕方がないのだろうか?
何枚か聞き進むと、ちょっと緊張感のある音楽もゆったりとのどかな感じになってしまうことが多い(録音の状態によってそういう風に聞こえることもある)ので、やや玉石混淆という印象もある。
ピアノはアンジェラ・ヒューイット。このピアニストは最近は少し耳にすることがあるので、ご存知の方も多いかも知れない。
さて、このバッハの録音はヒューイットが得意とするバッハの録音である。第2楽章のシチリアーノでのヒューイットの紡ぎ出すメロディーの強靱なカンタービレと、それを絹のような柔らかでデリケートな肌触りで包み込むベルナルディ指揮CBCバンクーバー管弦楽団の素晴らしさは、まさに絶品と言うべきものである。
両端の速い楽章もまた見事なアンサンブルで文句なし!である。ということで、この録音はベルナルディの当たりの録音、だと思う。
明るい曲調もまさに春!菜種梅雨ではないのだろうけれど、ちょっとぐずついた天候が続きそうだからこそ、こうした明るい音楽で楽しく乗り切りたいものである。
by Schweizer_Musik | 2008-04-09 20:42 | 春はあけぼの…音楽を楽しもう
穏やかな春の一日…
曇り時々晴れという感じの一日。でもお昼に少し散歩に出て、いつもの山桜(本当の種類はわからず。突っ込まれると謝るしかない…)をデジカメに収めて帰る。
桜の老木の花は、あれほどの風に耐え、美しい姿を見せていた。ちょっと感動…である。

ぼつぼつと仕事をしつつ、撮りためたビデオの整理などもしたりして過ごす。仕事の大半は新学期の授業の準備である。コンクール対策の授業が今年からはじまるので、国内、海外などのコンクールを調べているところ。
コンクールはよく傾向と対策を中心に考える人がいるようだが、私は正攻法で攻めるべきと考えている。日本のコンペは人のつながりで結果が決まることが多く、うんざりさせられることも多いけれど、だからダメとか言うだけでは結果を出すことはもちろん出来ない。あまりそればかり言うと、ただの負け犬の遠吠えになってしまうだろう。
正攻法というのは信じる音楽を書き、それで勝負すべきだということ。作曲なんてつまるところ自己表現であり、お山の大将なのだ。それを相手に合わせる(これも技術なのだけれど…)ことで実現できることなんてたかが知れている。
ケージのように超然と生きることは私にはとても出来そうもないが、自らの音を求め、探し抜くことが使命だと思っている。
そういう覚悟をしつつ、キャリア・アップを果たすことを目標に授業を組み立てて行かなくてはならないのだろう。いや、難しい話だ…。私如きにできるかなぁ…引き受けたものの、とても不安になって来ている。
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by Schweizer_Musik | 2008-04-09 18:51 | 授業のための覚え書き
スイス・ロマンド管の演奏するブルックナーの第九
昨日は一日嵐だった。夕方から少し治まり、今朝はようやくお日様が出てきた。日の出の時間は曇ったままだったけれど…。
花に嵐の喩えの通り、ソメイヨシノの花は、昨日の嵐で散ってしまったけれど、これから初夏にかけての季節は一年で一番気持ちの良い季節だ。(花粉症の人を除く…)

ヤノフスキが音楽監督となったスイス・ロマンド管弦楽団の新盤がナクソスにあったので聞いてみる。曲はブルックナーの交響曲第九番。スイス・ロマンド管に対する古い偏見への挑戦である。
スイス・ロマンド管弦楽団は常にエルネスト・アンセルメ時代と比べられる。確かに半世紀にわたって君臨したこの稀代の人物は、デッカへの数々の録音によって世界中に知られている。そのアンセルメが創設したスイス・ロマンド管弦楽団は、おそらくアンセルメと一体のものとして認識されていたようで、かつてはアンセルメ以外でこのオケと録音した人はとても少ない。
アンセルメの弟子であったペーター・マーク、スペインのアタウルフォ・アルヘンタなどごくわずかな人物がいただけで、スイスの新興オケであり続けたのだった。
そのアンセルメで評価の高かった録音は、その多くがバレエ・リュス(ディアギレフのロシア・バレエ団)と結びついたレパートリーであった。
その他と言えばドビュッシーなどで、交響曲などは意外なほど評価は低く、ベートーヴェンやブラームスの交響曲全集は、長年にわたってデッカに貢献してくれたことへのお礼のような感じで企画されたものだったそうだ。
ちなみに、アンセルメ自身はモーツァルトやベートーヴェン、ブラームス、シューマン、メンデルスゾーンなどといった作品を得意にしていた(と本人は考えていた)。しかし評判は芳しいものではなかったため、わずかな例外を除いてこれらの作品はモノラル時代には録音されなかった。
そのアンセルメがレパートリーに入れていなかった作曲家がマーラーとブルックナーである。
マーラーについてはアルミン・ジョルダンが積極的にとりあげたこともあって、スイス・ロマンド管にもかなり定着して来たものの、ブルックナーはどうも今ひとつの状態だった。
ファビオ・ルイジ時代にどうだったのかちょっと思い出せないのだが、定期などではもちろん取り上げられていた(と思う)。でも録音はなかった。
考えてみたら、ホルスト・シュタイン、ウォルフガング・サヴァリッシュなどが音楽監督をしていたのだから、全くブルックナーと無縁であったということはないはずなのだが、こうしたレパートリーを聞くことがなかったのは、世間の「アンセルメのオーケストラ」への偏見のためだったと私は考えている。
このオーケストラが来日する度、音楽監督は遠の昔に別人になっているにも関わらず、バレエ・リュスのレパートリーやフランス近代の作品を要求し続けたようで、ファビオ・ルイジとの来日公演が思ったほど良くなかったのもそのせいだと私は思う。
アンセルメが亡くなって四十年近く経って、ようやくブルックナーの作品の録音が出てきたのは、私にとって感無量の出来事なのだ!!

さて、ヤノフスキ時代のスイス・ロマンド管弦楽団は大変良い状態にあるとこの録音を聞きながら思った。
アルミン・ジョルダン時代が終わり、ファビオ・ルイジ、マレク・ヤノフスキとそのアンサンブルはかなり鍛えられてきていると思う。ロシアのニジニノヴゴロド出身の若いセルゲイ・オトロフスキーというヴァイオリニストがコンマスに座っていて、なかなかの腕利きらしい。もう一人Bogdan Zvoristeanuというコンマスも居る。このブルックナーがどちらのコンマスで録音したのかは知らないが…。
アルミン・ジョルダン時代のツィマンスキー氏は現在チューリッヒ交響楽団のコンマスであるが、かれはアメリカ出身である。そう言えば1950年代にはミシェル・シュヴァルベがコンサート・マスターであったから、このオケはインターナショナルなオケとして昔からあったのだ。
オケの音というのは、コンマスと指揮者で多くが決まってくる。今のスイス・ロマンド管弦楽団にアンセルメ時代の名残を聞こうというのは大体無理な話なのだ。そもそもアンセルメ時代の奏者も居ないのだから…。

朝からブルックナーの第九を聞くという不健康なことを(笑)しながら、その見事な演奏に接し、こんなことを考えていた。
フランスのオケだからドビュッシーが上手いというのは嘘だ。ドイツのオケだからベートーヴェンが上手いというのも当然嘘だ。本場物が一番なのだとしたら、我々がクラシック音楽をやる意味はなくなる。ニューヨーク・フィルはガーシュウィンやコープランドなどをやつておれば良いということになるし、チェコ・フィルの演奏したオネゲルはどこが本場なのかわからない…ということになる。
大体、オネゲルはスイス人(それもドイツ語圏の!!)であるということを無視してフランス人だと思っている人がなんと多いことか!フランス近代作曲家としてよく取り上げられ、最近はここにフランク・マルタンも入っていて驚いたことがある。
チェコ・フィルをアシュケナージが振ってドヴォルザークを録音したらどうなるのだろう?
こうした書き連ねているだけで、アホらしくなる。少し音楽を知っている人なら分かってもらえるのではないだろうか?
「このバッハは伝統あるワイマールの出身のオルガニストが演奏している素晴らしいものだ…」なんて嘘を信じない人なら、スイス・ロマンド管弦楽団にアンセルメのレパートリーを要求するのはもう止めた方が良い。
このマレク・ヤノフスキの指揮したブルックナーは、フレージングがまだこなれていない所はあるけれど、正攻法で真っ正面からぶつかった大変立派な演奏だと私は思う。
偏見なき耳で、ぜひ聞いてみて欲しい!

下の写真は日曜日の午後に撮った桜の花である。ちょっと大きな画像なので最後にした。昨日の嵐でどうなったのか、後で見に行ってみようと思っている。
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by Schweizer_Musik | 2008-04-09 08:50 | ナクソスのHPで聞いた録音