2009年 06月 22日 ( 1 )
夏…涼しくして音楽を聞こう -37. ゲーゼの「田舎の夏の日」
作曲者 : GADE, Niels Wilhelm 1817-1890 デンマーク
曲名  : 田舎の夏の日 "En sommerdag paa landet" Op.55 (1879)
演奏者 : オーレ・シュミット指揮 ラインラント=プファルツ州立フィルハーモニー管弦楽団
CD番号 : cpo/999362-2
このアルバムは こちら

このさわやかな曲は、全5曲からなる。
第1曲 初夏 "Early"
第2曲 嵐の気配 "Stormy"
第3曲 森の孤独 "Solitude of the Woods"
第4曲 ユーモレスク "Humoresque"
第5曲 夕べ "Evening" - 愉快な田舎での生活 "Merry folk life"

なんだかうきうきしてくるようなタイトルでは?夏至を過ぎたこの季節にピッタリの曲として紹介したい。
ゲーゼは、あのタンゴの「ジェラシー」を作曲したヤコブ・ガーデと同じ綴りなので間違えやすいが、その人とは別人で、こちらは上にある通り19世紀に活躍したデンマークの作曲家である。
シューマンがユーゲントアルバムの中でG-A-D-Eという音をモチーフとしてこのガーデへの挨拶としたのは有名な話で(41番「北欧の歌 "Chant du Nord"」)、グリーグの抒情小曲集の中にもそういう曲がある(第6巻第2曲)が、こちらは教え子でもあるのだが、その作品を書く三年前に亡くなったゲーゼの追憶に書かれたものであるという。
メンデルスゾーン亡き後、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の指揮者に就任したが、戦争が勃発し翌年に母国へと戻ることを余儀なくされた。
彼はデンマークでオーケストラや合唱団を設立し、それを自ら育成し、北欧にメンデルスゾーン、シューマンなどの築いたドイツ・ロマン派の音楽を確立した。他、オルガニストとしても活躍し、更にコペンハーゲン音楽院を創設し、ニールセンやグリーグを育てた。
彼には、交響曲が8曲ある他、室内楽、ビアノ曲、声楽曲など多くの作品を残しているが、忘れ去るには惜しい佳作が多い。
自国では演奏されず、楽譜をメンデルスゾーンに送ったところ、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の演奏会で取り上げたという交響曲第1番などは、堂々たる初期のドイツ・ロマン派の傑作だと私は思う。
この「田舎の夏の日」は、そんな彼が、五十歳を越えて書いた作品である。すでに巨匠として多くの人たちの尊敬を一身に集めていた彼が、肩の力を抜いて、書きたいように書いた…そんな音楽の中に、ドイツ・ロマン派の最も純粋な世界が広がっているように私には思える。
第1曲目の「初夏」からそのさわやかな響きに皆魅了されるに違いない。
だが、私が特に好きなのは第3曲「森の孤独」で、ドイツ・ロマン主義の王道を行くがごときテーマを、ゲーゼが真っ正面から描いた傑作だと私は考えている。
前後するが、第2曲の「嵐の気配」はあくまで、気配であって嵐そのものでない点がユニーク。ベートーヴェンやロッシーニなどの嵐の音楽と比較してみるのも面白いかも知れない。
作曲家としても知られるオーレ・シュミットの指揮するラインラント=プファルツ州立フィルハーモニー管弦楽団も過不足のない演奏でまずは満足できる。
by Schweizer_Musik | 2009-06-22 09:21 | 夏…涼しくして音楽を聞こう