2009年 07月 21日 ( 3 )
ピエルネの組曲「ミュージック・ホールの印象」
作曲者 : PIERNÉ, Gabriel 1863-1937 仏
曲名  : 組曲「ミュージック・ホールの印象」(1927)
演奏者 : ブラムウェル・トーヴィ指揮 ルクセンブルク・フィルハーモニー管弦楽団
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2006年のリリースというこのCD。「シリダースと牧羊神」あたりで終わりがちなこのピエルネという作曲家が、実はとても面白い作曲家であることを知らしめる名盤だと思う。
最近、このルクセンブルクのオケがとても良い。1990年代後半から後のこのオケの録音はずいぶん良くなってきている。かつてヴォックスなどに録音していた時代には、今ひとつのアンサンブル、勢いはあるのだけれど、あるいは元気はいいけれどデリカシーに欠ける感じで、どうも今ひとつの印象だったものだが、現在のこのオケはちょっと神奈川フィルのような響きの安定感と美感が備わっていると思うのは、ちょっと褒めすぎかな…。
1927年に作られたというこの作品。1920年代を席巻したアメリカのジャズ、ラグタイム、ブギブギやタンゴといった酒場で流行していた音楽が新しい語法を探していたヨーロッパの作曲家たちに受け入れられ、様々な実験を行われた時代であった。
この流行は、1930年代にまで続き、ガーシュウィンなどの音楽へと昇華していったのだが、ラヴェルやストラヴィンスキーといった新し物好きの作曲家たちによって様々な傑作が生み出されていった。イベールやミヨーなどもしかりであった。
その中にピエルネもいたことを教えてくれるこの録音は、とても興味深いものであったし、ピエルネがドビュッシーなどの作品を初演した指揮者で「作曲もしたらしい…」という音楽家ではなく、第一級の作曲家であったことを示している。
それは、初期のピアノ協奏曲ハ短調の作品からその技量の高さは明白ではあったけれど、1900年のミレニアムの頃以降の彼か、同時代の音楽を吸収しつつ、実に魅力溢れる音楽をものにしていたことをこの録音は示している。
近代音楽ファンはぜひ一度ご賞味あれ!!
by Schweizer_Musik | 2009-07-21 22:28 | ナクソスのHPで聞いた録音
ヴィエルヌのピアノと管弦楽のための詩曲 Op.50
作曲者 : VIERNE, Louis 1870-1937 仏
曲名  : ピアノと管弦楽のための詩曲 "Poème pour piano et orchestre" Op.50 (1925)
演奏者 : フランソワ・ケルドンキュフ(pf), ピエール・バルトロメイ指揮 リエージュ・フィルハーモニー管弦楽団
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ヴィエルヌのオーケストラのための交響曲イ短調とともに入っているが、交響曲の方は私にはさっぱりだったけれど、この曲は素晴らしい!!あのショーソンの詩曲に匹敵するものと思う。
1925年と言えば、ヴィエルヌが体調を崩していった時期にあたる。そのおかげで彼のオルガニストとしての評価が低くされていると言われているが、そのあたりは実際にヴィエルヌの演奏を聞いたことがない私には何とも言いようがない。
しかし、この音楽の幽玄な雰囲気は、彼が人生の後半に至ってドビュッシーなどの新しい技法を少しずつ取り入れて行ったことが伺える。とは言うものの、彼は徹底したロマン派の音楽家であり、極めて保守的な音楽傾向の人物であるから、こうした新しい潮流に与したのではなく、あくまでその語法の自分に合っているところを取り入れていったというものに過ぎないのだが、これほどに深くファンタジックであれば、これはこれで良いかなと思う。
管弦楽法も交響曲の常識的なオーケストレーションに対して、こちらはそれなりに新しさ、ユニークさがある。交響曲がつまらないと言うのは言い過ぎだけれど、この曲のCDがこれから出ても買う気は無い。でもこの詩曲を例えばアンスネスあたりがヴィトなどと組んで録音してくれたなら、多分一も二もなく買いに走るだろう。
後半のリズミックになって盛り上がるあたりはもっとすっくりとした響きになるはずだし、バルトロメイ指揮 リエージュ・フィルもよくやっているけれど、ちょっとピリッとしないのはやはりオケのせいか?これが今の神奈川フィルと現田茂夫だったらなんて思うけれど…。
by Schweizer_Musik | 2009-07-21 21:58 | ナクソスのHPで聞いた録音
シチェドリンの管弦楽のための協奏曲 第1番「お茶目なチャストゥシュカ」
作曲者 : SHCHEDRIN, Rodion Konstantinovich 1932- 露
曲名  : 管弦楽のための協奏曲 第1番「お茶目なチャストゥシュカ "Naughty Limericks"」(1963)
演奏者 : ミハイル・プレトニョフ指揮 ロシア・ナショナル管弦楽団
CD番号 : Grammophon/UCCG-1060

大分前のリリースで、録音も1998年モスクワ音楽院大ホールでのもので、もう10年ほど前。国内盤のCDは手に入りにくいと思われるが、iTune−Storeにはあるので、ネットでダウンロードして聞く分には比較的容易であろう。
シチェドリンと言えば、はやりバレエ組曲「カルメン」が有名だけれど、多作家である氏は初期はこうしたポピュラリティーあふれる作風の音楽も書いていたのである。
ドラム・セットではないにしてもそれを意識したリズムが鳴り続けるスタイルは、大変上質でこうした良い演奏で聞くのは実に楽しいものである。
シチェドリンは自身が優れたピアニストでもあり、ピアノのための前奏曲集なフーガなどもあるが、この自作自演もナクソスにある(こちら)が、かつて新世界レーベルの出来の悪いLP(薄っぺらなジャケットが思い出される…)でよく聞いたものである。ちょっと私の作風と似ているなと、最近気がついたけれど、これは偶然である。合成音階による近代モードでフーガなどを書けば自然と似た感じになってしまう…。
それはともかく、この作品はシチェドリンの作品の中でも飛び切りの親しみやすい作品として、広く薦められる一曲である。
この音源ではないが、ナクソスにはテオドレ・クチャル指揮 ウクライナ国立交響楽団の音源がある(こちら)。まずまずの演奏だとは思うが、プレトニョフの目も覚めるような引き締まった演奏を聞いた後ではなんとも生ぬるく感じてしまうのには困った…。やはり、ダウンロードが駄目なら中古で探してもらうしかないが、この演奏はとてもとても素晴らしいのでその価値は充分にあると思う。
ちなみにプレトニョフは有名な「カルメン」も入っているが、これもまた目も覚める名演!!カルメンに関してはユーリ・トゥロフスキー指揮 ムジチ・ドゥ・モントリオールの録音もナクソスにある(こちら)が、現在のところ、私が持っているこの2つの演奏が東西の両横綱である。
そうそう、敬愛する現田茂夫氏が京都市響を振ったもののエアチェックをyurikamomeさんのご厚意により聞かせていただいたが、若干残響が深すぎて、編成もこの曲のコンパクトな響きに対して大きく感じる。ダイナミックな演奏で聞かせどころたっぷりの曲故に、これはやはり実演で聞くべきだと思った。(行かれた方々が羨ましく感じた次第である…)。
ティンパニーがやたらでかくて、もっと締まった音であればと思ったのだが、これは多分録音のせいだろう。アンビエンスを深くとりすぎたせいと思う。弦楽合奏と打楽器群というコンパクトな響きがもう少し出ていた方が良い。よく聞くと素晴らしい響きで、現田節があちらこちらに散りばめられていて、とても素晴らしい。
こんな上手いアレンジってやはり凄いと思うし、よくぞハチャトゥリアンが断ってくれたものだ(最初この曲のアレンジをハチャトゥリアンに頼んだ名プリマのプリセツカヤに「君のご主人に頼み給え。彼は天才だよ」と言ったというが…そのおかげでこの名編曲が生まれたのだった)
色々と話が飛んでしまったけれど、近代音楽がお好きなら一度ご賞味あれ!!
それにしてもこんなにきれいにFMが入る地域が羨ましい。私の家ではどうやっても雑音だらけになるからである。
by Schweizer_Musik | 2009-07-21 20:52 | CD試聴記