カテゴリ:春はあけぼの…音楽を楽しもう( 35 )
春はあけぼの…音楽を聞こう -35. ワルキューレ第1幕より、冬の嵐は去り、快き月となった
作曲者 : WAGNER, Richard 1813-1883 独
曲名  : 楽劇「ワルキューレ」(1870) 第1幕 より
演奏者 : ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団, マルタ・メードル(sop/ブリュンヒルデ), レオニー・リザネク(sop/ジークリンデ), フェルディナント・フランツ(br/ヴォータン), ルートヴィヒ・ズートハウス(ten/ジークムント), マルガレーテ・クローゼ(mezzo-sop/フリッカ), ゴットロープ・フリック(bs/フンディンク)
CD番号 : NAXOS/8.111056〜58
このアルバムは こちら

第1幕の終わり近く、第3場のジークムントとジークリンデのダイアローグがこの歌劇の中でも特に好きな場面で、後半、「冬の嵐は去り、快き月となった」と歌う場面は、なんとも野蛮なこの歌劇(大体私はワーグナーの誇大妄想的音楽はそう好きではない)の中でも特に美しい世界を描いていると思う。
ワルキューレはこの「ニーベルングの指輪」の中でも特によく出来たオペラで、大変スペクタクル!な、見所満載だが、私はこの野蛮な世界観はあまり好きではない。もっぱらこの部分と第3幕の終わりちかくの「さらば、勇ある輝かしき子よ」とヴォータンが歌う場面を聞いて終わっている。
体力があれば、全曲聴くが、CDで聞くのはかなりつらい…。

毎日、太陽の出ないどんよりとした日か、冷たい雨ばかりであるが、今日から三月!!もう春!である。
気分だけでも春が来たと思いたい!!ので、ちょっとだけサボってこれを聞く。ワルキューレは東ドイツのレーベルで録音されているのだろうか?ケンペかクルツあたりの指揮するドレスデン・シュターツカペレなんてあればいいだろうなと思う。キャストは…ああ妄想の世界に入っていってしまう…。
それでもケンペがベルリン・シュターツカペレを指揮したラインの黄金の抜粋がナクソスにあるので、そのうち聞いてみようと思っている。

ところで、この演奏は実に素晴らしいものだ。こんな名演(これがフルトヴェングラーの最後の録音となった…)がナクソスにアップされるとは…時代も変わったものである。
ちなみに私の好きなワルキューレの最後の場面の演奏はクナッパーツブッシュ指揮ウィーン・フィルで、ジョージ・ロンドンが歌ったもの。あれはまだしばらくナクソスに出てこないだろうから、CDは大切に持っていなければ…。
ちなみに、このクナッパーツブッシュのワーグナー作品集(LONDON/KICC 8225)は今でも出ているのだろうけれど、ビルギット・ニルソンのトリスタンとイゾルデの最後の「愛の死」など、かなり聞かせる!!
私はクナッパーツブッシュ信者ではないけれど、これは良かった。
まぁ、イゾルデの「愛の死」はノーマンとカラヤンによるザルツブルク音楽祭でのライブというとんでもない演奏が一番なのだけれど…。

さあ仕事仕事!!
by Schweizer_Musik | 2009-03-01 07:25 | 春はあけぼの…音楽を楽しもう
春はあけぼの…音楽を聞こう -34. 清瀬保二の琉球舞踊 (1936)
作曲者 : KIYOSE, Yasuji (清瀬保二) 1900-1981 日本
曲名  : 琉球舞踊 (1936)
演奏者 : 花岡千春(pf)
CD番号 : Bellwood Records/BZCS-3036〜7
小川典子の演奏は こちら

立春を過ぎたとは言え、春は名のみの風の寒さ…。
それでは、清瀬保二のピアノ曲全集から、沖縄の音調を使用したエキゾチックな作品で少しだけ温かさを先取りしよう。
ナクソスにある小川典子さんのピアノはやや硬質な響きで全体としては今ひとつだが、この花岡千春氏のピアノは木質の温かさがあり、こうしたテクニックで聞かせる作品でない平易な作品では大きな力となる。

さて、清瀬保二は山田耕筰などの次の世代に属している作曲家で、日本独特のテトラコルド、あるいはモード、音階を取り入れた作風で知られるが、更に5拍子などの変拍子、曲によっては多調性なども使いこなす、意外なほどモダンな作品を書いていた。
「琉球舞踊」は全3曲、5分半ほどの短い小品で、演奏も平易で初心者でもなんとかなるだろう。そんな音楽でありながら、こめられたアイデアは実に興味深いもので、第3曲の中音域でのオスティナートにのせて緩やかに流れていく音楽を聞きながら、ラヴェルの協奏曲(両手)の2楽章を思い出していた。
第1曲目から5拍子のちょっとイレギュラーなアクセントとともに沖縄音楽独特のスケールが耳に飛び込んできて「ニヤリ…」。そうかこういう方法もあったんだと思ったりした。
冒頭の音形が全曲のイデーとなって、様々なものに変容していくわけだが、小品ながらさすがである。
by Schweizer_Musik | 2009-02-08 04:05 | 春はあけぼの…音楽を楽しもう
春はあけぼの…音楽を聞こう -33. フォルヌローの組曲「春の旅」
作曲者 : FORNEROD, Aloÿs 1890-1965 スイス
曲名  : 管弦楽のための組曲「春の旅 "Le Voyage de printemps"」Op.28
演奏者 : アルミン・ジョルダン指揮 ローザンヌ室内管弦楽団
CD番号 : CASCAVELLE/RSR 6143

立春も過ぎ、外に出るとふと大気が冬から春のそれへと入れ替わったように感じたのは、春を待ちわびる私の思い過ごしだろうか?
フォルヌローというスイスはフランス語圏で活躍した作曲家の名前をご存知の方はそうそういらっしゃらないのではないか?
私も名前だけである。CDを持っているのでその解説を読めば良いのだけれど、ああ言葉の壁が…。せめて英語ならなんとかならないでもないが、フランス語となるとかなり厳しい!!娘に教えてもらうのも癪なので、そのままになっている。

このLe Voyage de printemps(「春の旅」という訳で良いと思うのだけれど…)という曲は、彼の代表作らしく、何枚かのCDが出ている。
二十世紀初頭、パリ音楽院で学んだようだから、近代フランスの響きがそのまま生きているような音楽。グロッケンシュピールが一曲目からちょっと五月蝿いけれど、どこかのどかで、春の穏やかな風景を思わせる作品である。
全部で5曲からなり、第1曲「牧歌 "Eglogue"」、第2曲「ロンド "Ronde"」、第3曲「夜想曲 "Nocturene"」、第4曲「リゴードン "Rigaudon"」、第5曲「モンフェリーネ "Montferrine"」というタイトルがつけられている。
ドビュッシー初期の「春」などの音調だとお考えいただければ良い。極めて保守的な作風ではあるが、だから平凡と言って退けてしまうのは、あまりにもったいないことに思われる。
ちょっとだけ中東テイストのリゴードンなんて魅力が一杯!で、確かにスイス・ロマンド(スイスのフランス語圏)で今も聞かれているのもわかる。
しかし、ネットで検索して、バイオグラフィーが引っかからなかったのは久しぶりの出来事!!
この人の経歴をご存知の方はぜひご教示いただければと存じます。
by Schweizer_Musik | 2009-02-05 13:22 | 春はあけぼの…音楽を楽しもう
春はあけぼの…音楽を聞こう -32. 橋本國彦作曲 組曲「三枚繪」
少しばかりすっきりしない天気が続くようで、今日も午後から雨と予報が出ている。
昨日はくたびれ果てて、夕食を摂った後、速攻で就寝…。早く寝すぎたためか何度か目を覚ましてゴソゴソしたものの、結局朝寝坊して六時過ぎに起き出した。
朝日はなく、どんよりとした空気が支配的である。

橋本國彦が作曲した組曲「三枚繪」(1934)を聞いてみる。1曲目が雨の道、2曲目が踊子の稽古帰り、そして3曲目が夜曲というタイトルがつけられている。
私が聞いているのは花岡千春というピアニストが弾いたディスク(Bellwood Record/BZCS 3031)であるが、楽曲解説でどういう経緯で作曲されたのか、いつ頃書かれたのかなど知りたい情報が何もなくてがっかりだったけれど(ホント、聞けばわかるようなことをライナーでせっせと書く奴の気が知れない…)中身は実に興味深いものばかりで1930年代の日本が意外なほど進んでいたことを知るディスクであった。
3曲のピアノ小品がまとめられた橋本國彦のこの組曲「三枚繪」は、彼の唱歌風の作品を聞いていた耳には驚くばかりにドビュッシー風のピアニズムが溢れ、当時としては極めて斬新な作品に聞こえたと思われる。
3曲目の「夜曲」は少々冗長に感じられなくもないけれど、途中に全音音階を使って響きに変化をつけたり、第1曲の「雨の道」はドビュッシーなどとは異なる雨の世界を、描いていてとても興味深く感じられた。
雨をこのような情緒的にとらえたのは、明らかに日本人の感性のなせる技と思われる。ペンタトニック風の部分とダイアトニックの部分が交差し、時折増音程を混ぜて全音音階風に感じさせたりする。
第1曲と第3曲はあきらかにメロディーを紡ぎ出すことよりも、サウンドへの興味が勝り、音楽はやや散文的になってはいるが、日本人の感性にストレートに訴えかける何かを持っていると思う。
第2曲もドビュッシーの影響は明らかではあるが、動的でテーマに特徴があり、とても面白い。
c0042908_11872.jpg演奏は切れ味という点でやや鈍い感じがするものの、これらの知られざる作品を紹介してくれたことに深く感謝を捧げたいものである。ただ、解説は作品の紹介でもあるのでデータをしっかりと書いてほしいものだ。曲についての感想など別に読みたくはない。

写真は火曜日、授業を終えての帰り道、後楽園の駅近くの公園で撮ったもの。この日はとても良い天気で、木漏れ日がなんとも美しく思えて夢中でシャッターを切ったものである。
by Schweizer_Musik | 2008-04-17 10:35 | 春はあけぼの…音楽を楽しもう
春はあけぼの…音楽を聞こう -31. バッハのピアノ協奏曲 ホ長調 BWV.1053
明日は雨のようだ。プロ野球中継を見ていて甲子園に雨が降り始めたというから、明日はこの雨がやって来るのかなと思ってみていた。
菜種梅雨と呼んで良いような、すっきりしない毎日だ。まっ、昨日のような嵐にはもうならないでほしい。桜が散ってしまう…。
c0042908_20751.jpg今日のわずかな日差しが戻ってきた昼下がりに撮ってきた若葉の写真。散歩の途中の古そうな木造の家に向かう枝から伸びる若葉。光線の対比が印象的だった。
さて、春はあけぼの…シリーズはそろそろ終盤戦にさしかかった。今日はさすがにヴィヴァルディの「春」でもあるまいし(別に曲がつまらないというのではない。ただ、私がここで取り上げなくてもと思うのだ)…、ということでバッハの同じ調性のチェンバロ協奏曲をピアノで弾いたものをとりあげようと思う。
カナダのバンクーバーのオケの指揮をしているマリオ・ベルナルディは1930年にカナダ、オンタリオ州カークランド・レークに生まれた指揮者であるが、録音数が半端でない上にクオリティもかなりのものが多い。
メジャー・レーベルから出ている音楽家だけが大音楽家でないのは分かっているつもりでも、なかなかこうした音楽家が抜け落ちていくのは仕方がないのだろうか?
何枚か聞き進むと、ちょっと緊張感のある音楽もゆったりとのどかな感じになってしまうことが多い(録音の状態によってそういう風に聞こえることもある)ので、やや玉石混淆という印象もある。
ピアノはアンジェラ・ヒューイット。このピアニストは最近は少し耳にすることがあるので、ご存知の方も多いかも知れない。
さて、このバッハの録音はヒューイットが得意とするバッハの録音である。第2楽章のシチリアーノでのヒューイットの紡ぎ出すメロディーの強靱なカンタービレと、それを絹のような柔らかでデリケートな肌触りで包み込むベルナルディ指揮CBCバンクーバー管弦楽団の素晴らしさは、まさに絶品と言うべきものである。
両端の速い楽章もまた見事なアンサンブルで文句なし!である。ということで、この録音はベルナルディの当たりの録音、だと思う。
明るい曲調もまさに春!菜種梅雨ではないのだろうけれど、ちょっとぐずついた天候が続きそうだからこそ、こうした明るい音楽で楽しく乗り切りたいものである。
by Schweizer_Musik | 2008-04-09 20:42 | 春はあけぼの…音楽を楽しもう
春はあけぼの…音楽を聞こう -30. ジョンゲンの管弦楽のためのトリプティク (三部作)
c0042908_1425878.jpgジョンゲンの管弦楽のためのトリプティクは最近手に入れた一枚に入っていたものである。1936年に書かれたこの作品をはじめて聞いて、フランス近代の和声と新古典主義の幸せな結合を体感した次第である。
協奏交響曲のどことなくホンワカとした雰囲気は、この作品においても聞かれる。ジョンゲンのどこかのどかな印象は健在だ。バルトロメーの指揮があまりテンションをあげないで、適度なテンポをとっていることも嬉しいばかりである。

9の和音の扱い方がドビュッシーの初期の作品、例えばピアノと管弦楽のための幻想曲や「春」などのサウンドがベースになっているように思う。
前に取り上げた別宮貞雄の作品とこれを何の予備知識も与えられないままに聞かされて、作曲年代を当てられる人は多分いないだろう。

第1楽章は明らかに「牧神…」へのオマージュであるように思う。オーケストレーション、編成は異なるものの、響きの独特な連結にそうした傾向を強く感じる。フルートのソロはないが…。
第2楽章はペンタトニック風のテーマの冒頭部がとても面白い。ちょっと民謡風とでも言えそうで、バスのオスティナート風の部分があったりもする。
この楽章がこの曲の聞かせどころなのかと思って聞いていると更に3楽章でとんでもなく美しい音楽が待っている。
まぁ、途中でこれはドビュッシーの1880年代終わり頃の失われた作品が発見されたものだと言われても、私は信じてしまいそうな気がしてきた。
しかし、これはジョンゲンがドビュッシーをパクッたのではなく、彼のテンペラメントがこの音楽を生んだのだと思う。出なければメロディーや和声、オーケストレーションがこんなに魅力的に響くはずがない…。
終楽章のメロディーの儚げで何とも優しい歌、その後に続く低音のメロディーは、ダフニスの夜明けの場面を思い出させるものの、その味わいはかなり異なったものである。

さて、これをどう聞くのか?なんだパクリかと一蹴して終わる人もいるかも知れない。けれど、私はなんとも愛おしい作品に聞こえる。どことなく似ていようが、そんなことを聞いているのではないのだから…。
私にはデュパルクとドビュッシーの融合にちょっとラヴェルの機知が加わっているように思われた。色々と影響を受けつつ、自分の音楽を探し、作っていたのだろう。
大天才と呼ぶにははばかられるが、これも一つの生き方であろう。私もこれによく似たことをしている…こともある(笑)。

上の写真は我が家のあるマンションの敷地にある桜の姿である。もう葉桜となってしまった。一週間前は満開だったのだが…。間もなく若葉の頃となる。
by Schweizer_Musik | 2008-04-07 00:28 | 春はあけぼの…音楽を楽しもう
春はあけぼの…音楽を聞こう -29. 別宮貞雄の交響曲第3番「春」
c0042908_2150146.jpg1984年に書かれた作品。ちょっとここまで古典的な様式でやるのかと驚かされるが、ちょっとした映画音楽風で、ほのぼのしていて、それがいかにも「春」らしい。
私の持っているディスクは若杉弘氏の指揮する東京都交響楽団による1993年の録音である。
各楽章にタイトルというか標題があり、極めて伝統的なロマン主義による標題交響曲である点が特徴だろう。
第1楽章は「春の訪れ」(あっという間に春はやってくる)というタイトルがつけられていて、ちょっとアルペン・ホルン風の出だしが、シュトラウスの楽曲を思い出させたりする。
第2楽章は「花咲き、蝶は舞い……」(そして鳥がさえずる。深い山の中の自然の美しさ)というタイトルが示すように、音楽は更にシュトラウスばりの描写性に傾くこととなる。そして、最後の第3楽章では「人は踊る」(人々は浮かれ出す)というタイトルが示すようにリズミックな楽章となる。
しかし、ここまで古典的な和声に固執したのはどうしてなのだろう?その数年前に書き上げた交響曲第2番ですら、もっと近代的なハーモニーをベースにしていたのに、せいぜいシューマン程度の和声に戻った別宮貞雄のこの作品に、実は戸惑っているというのが、私の正直な感想である。
この後に書かれた「1945年夏」をテーマにした作品ではもっと表現主義的なのに…(まぁそうならざるを得ないというのも事実ではあるが)。
しかし、近現代の「難解な音楽」という印象をこの作品から抱く人はいないだろう。
演奏は、若杉らしからぬピッチの乱れがあったりして、少々不満である。とは言え、我が国の作曲界の重鎮の作品である。心して聞こうではないか!
写真は今日の昼、久しぶりに家族みんなで近くのレストランで食事をした帰り、腹ごなしに一人で散歩していた時に見つけた若葉の写真である。
目に青葉…、あっそうだ、明日は鰹を食べよう!
by Schweizer_Musik | 2008-04-06 21:20 | 春はあけぼの…音楽を楽しもう
春はあけぼの…音楽を聞こう -28. ハイドンの弦楽四重奏曲ト長調 Op.50-5「夢」
c0042908_8472670.jpgハイドンの弦楽四重奏をもう一曲紹介しておこう。
何しろ古い番号付けではホーフシュテッターのシリーズなどが紛れ込んでしまい、ナンバリングが意味を持たなくなってしまい、混乱を来しているというのもあるが、それもドヴォルザークの交響曲のように5曲だったのが9曲になる程度ならそれほどでもないのだけれど、ハイドンのように自身の作と分かっているだけで67曲、以前は82曲でナンバリングされていたものについては、私などは憶え直すなどというのは全く、無理!である。

さて、そんなことはどうでも良い。今回は作品50の5。誰が付けたのか「夢」というタイトルがついているが、それはこの第2楽章の夢を見るような穏やかで美しい音楽が元ではないだろうか?作品76の「ラルゴ」とともにハイドン最高のメロディーの一つだと思う。
作品50は、原田幸一郎が在籍していた頃の東京カルテットの素晴らしい演奏があったけれど、このアマティ四重奏団の演奏は遙かに凌駕するというのは言い過ぎかも知れないが、現在手に入る最も優れた演奏であると私は思う。
そう言えばこの四重奏団も第1バイオリンがWilly Zimmermann(ウィリー・ツィマーマン)からセバスティアン・ハマン(Sebastian Hamann)に替わっている。いつ頃替わったのかは知らないが、私が彼らの存在を知った2000年頃(何という遅さだ!!)にはまだツィンマーマンだったはずで、最近のことであろう。
このあたりの事情について、日本で知ることは大変難しい…。

しかし、ハイドンの弦楽四重奏曲、特にこの作品50は後に交響曲で使われた素材が出て来るので、少し交響曲に親しんだ人ならとても面白いことだろう。その上曲が愉悦に満ちているのだから…。
「夢」は比較的短い作品ながら、うたかたの夢の如く淡く、どこか悲しげな余韻に満ちていて、私には愛おしいメロディーの一つである。
これをアマティ四重奏団の見事な演奏で聞く。弦の音にきらめくような美感がある。我が国では無名でも、メジャー・レーベルと契約していなくても、素晴らしい演奏家はたくさんいる。
ちなみにナクソスでの楽曲のテンポ表示、この曲に関して言えば第1楽章 Allegro、第2楽章 Poco adagio、第3楽章 Tempo di menuet : Allegretto、第4楽章 Finale : Vivaceだと承知しているのだけれど、どうも違っているように思われる。(スコアが現在見あたらず、未確認情報です)ただ、DIVOXレーベルでも同じ表記をしているので、これが正しいのだろうか?
でもゆったりした第2楽章がTempo di minuettoというのはいくらなんでも違っていると思うのだが…。
by Schweizer_Musik | 2008-04-04 08:48 | 春はあけぼの…音楽を楽しもう
春はあけぼの…音楽を聞こう -27. ハイドンの弦楽四重奏曲ト長調 Op.77-1
c0042908_22174848.jpg
ハイドンの弦楽四重奏曲の最後のセットで、結局2曲で終わった作品の最初の方をとりあげよう。この清々しい作品が1799年、もう70才間近の老人の手になるとは信じられない。
ハイドンもまた、モーツァルトとともに神に選ばれた音楽の紡ぎ手であったのだ。
演奏はアマティ四重奏団によるもの。今から3〜4年前に手に入れた一枚だが、ナクソスにアップされていた。
彼らの演奏は線は多少細いものの、音の美感において、アンサンブルの緻密さにおいて全く素晴らしいものがある。1981年創設後、1982年にエヴィアンのコンクールでグランプリをとっている実力派である。コンクールの入賞歴などどうでも良いが、ここで聞く彼らの演奏は1987年から1988年にかけてのもので、一緒にアップされているスイスの作曲家ハラーやフォーゲルの作品もそれぞれ1987年1993年と設立後10年前後のものがほとんどで、メンバー個々の能力の高さを窺わせるものだと言えよう。
彼らの演奏はここでも何度かとりあげているがさて、このハイドンも同様に、実に美しい演奏である。
軽快でさっそうとして…。「皇帝」や「ひばり」なんていう名前がないというだけで、地味な曲なんて想像してはいけない。ハイドンはやはりハイドンである。その円熟した作品を、春の陽光の中、楽しんでみては?

上の写真は昨日の日没。水蒸気の多い空で、薄く靄がかかったまま一日が過ぎていったけれど、こんな日は夕焼けがきれいだと思う。大きな大きな夕陽だった。
by Schweizer_Musik | 2008-04-04 07:32 | 春はあけぼの…音楽を楽しもう
春はあけぼの…音楽を聞こう -26, イッポリトフ=イワーノフの「春の序曲」
イッポリトフ=イワーノフの「春の序曲」Op.1を聞く。グルジアの作曲家で現在のトビリシで教鞭をとったという。
有名な作品は組曲「コーカサスの風景」であろう。いや、その中の「酋長の行進」が有名で、それもまともに取り上げられることは滅多にない。
さぞ、つまらない作曲家なのだろうと思われるかも知れないが、私のようなB級グルメ派には、なにやら面白そうな(美味しそうな)予感のようなものをかぎつけてしまうのだ。
大体グルジアなんてどこ?という人もいるかも知れない。そういう方はこちらでどうぞ!

ともかく、この作曲家、私のようなB級グルメ・レポーターを感動に打ち震えさせる音楽がたくさん…。
これもナクソスにある。何年か前にマルコポーロ・レーベルを中心に数多くのタイトルが廃盤になって、買いそびれたままになっていた録音だったので、ここでの発見はうれしい限り。
さてさて「春の序曲」は1882年の作ということで、23才の作品である。作品番号1が示す通り、未熟ながらもこれから世の中に自らを羽ばたかせようという意気込みに満ちている。
円熟した作品も良いが、こうした「若さ」もまた良いものだ。モードの扱いなどにリムスキー=コルサコフの影響は明らかだけれど「出来損ないのリムスキー=コルサコフ」などと悪口を言う前に、虚心坦懐にこの音楽を楽しんでみられてはいかが?

ところで、この曲をおさめているナクソスの曲目の表示はちょっと…問題ありだ。
「春の序曲、「3つの音楽のタックスブロー」とあるが、何のことかさっぱり分からなかった。よく見ていると3曲セットの曲はOp.56の「オシアンからの3つの音楽的絵画 」だろう。URLの表示に"Three Musical Taxbleaux"とあるから、これを打ち間違い、そしてそれを無理矢理訳したところに問題が起こったものと推察する。絵画がいつの間にか何かの税金になっているのは皮肉のつもり?なのだろうか(笑)
曲目の表示では"3 Musical Tableaux from Ossian, Op. 56"とあるので間違いないのだが…。
昨日の今日で申し訳ないが、敢えて苦言を呈したい。またマルコポーロ・レーベルのものの多くが曲目の英語解説を載せてくれていて、私のような物を知らない者にとってものすごくありがたいものであったが、これには無い。他で聞けない音源の、調べようにもなかなか難しい作品の解説であるだけに、ぜひ載せてほしいものだ。
c0042908_185926.jpg

花冷えの一日だったけれど、夕方になって雨が上がる。今日の夕焼けは美しかった。左端のなだらかなスロープは富士山。山頂を隠す雨雲の名残は暗くなるまでとりついて離れなかった…。
by Schweizer_Musik | 2008-03-31 18:59 | 春はあけぼの…音楽を楽しもう