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神奈川フィルによるカルミナ・ブラーナを聞いてきた
昨日は神奈川県民ホール開館35周年記念公演で、現田茂夫指揮神奈川フィルによるオルフの「カルミナ・ブラーナ」を聞いてきた。良い演奏というか、ずいぶん派手な演奏で、説得力満点だった。音の輝きがいつもの神奈川フィルで、なにもあんなことまでしなくても…と思うようなところも無くはないが、全体としては聞かせ上手な楽しい演奏だった。
しかし、ホールに乗りきらないほどの人数を集めての豪華絢爛たる音の洪水は、説得力満点で、あんな音の洪水の中ではオケの人たちも自分の音どころか、どうなっているのかも聞こえず、大変だったのではないかと思うが、あけだけの人数でやれば、ピアノやチェレスタが浮かないし、合唱が突っ走ることもないのだろう。

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by Schweizer_Musik | 2010-06-07 09:04 | 神奈川フィルを聞く
ボエームを観てきた
指揮:沼尻竜典
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演出:アンドレアス・ホモキ



◇出演◇

ミミ:浜田理恵

ロドルフォ:志田雄啓

ムゼッタ:中嶋彰子

マルチェッロ:宮本益光

ショナール:井原秀人

コッリーネ:片桐直樹

アルチンドロ:晴雅彦

パルピニョール:大野光彦

ブノア:鹿野由之



合唱:びわ湖ホール声楽アンサンブル、二期会合唱団

児童合唱:神奈川県立弥栄高等学校合唱部

管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団

昨日はyurikamomeさんご夫妻、yokochanさんとこのボエームを観て、その後朝香さんの奥様の誕生パーティに出て、結局タクシーでご帰還と相成った。やはり10時を過ぎると眠くて眠くて…(笑)。帰りのタクシーの中では何とか起きていたけれど、帰り着くとそのまま寝てしまった。
自分にしては久しぶりというくらい、ずいぶんたくさん飲んだので今日は完全休養日とした。惚けた頭で作曲などしても結果は決まっているので、音楽を聞いて過ごしていた。
しかし昨日のボエームは良かった。いや、良かったのは浜田理恵が歌うミミだった。かなり変わったアンドレアス・ホモキ

の演出があれほどの説得力をもったのは彼女の歌唱のおかげである。
次いで中嶋彰子
が歌うムゼッタは素晴らしかった。残念ながら男声陣はこの二人に対してかなり劣る。オケに対して声が負けてしまっているので、ロドルフォも前半は精彩を欠いていたし、マルチェルロもやや説得力に欠けていた。
児童合唱は大変優れていて、第2幕を実に楽しいものにしてくれていたし、大人の合唱も大変優れた歌を聞かせていた。
しかし、昨日の感動は全てミミとプッチーニのスコアの勝利だった。独特の演出はあちらこちら意外性に満ちていた。屋根裏部屋ではなく、町中の通りで芝居がはじまりそこに大きなツリーを持ち出してカフェの場面に移り、盛り上がったところでストップ・モーションになりそのまま3幕に移るあたりは斬新極まる発想に、一流の演出家の執念のようなものまで感じた次第である。
で、4幕では金持ちになったロドルフォやマルチェルロのところに着飾ったムゼッタに連れられてミミがやってくる。
ゼッフィレルリのメトの画像などを見て知っている人にはきっと昨日の演出は面白かったことだろう。しかし、それもこれも、プッチーニの完璧なスコアがあってこそである。
神奈川フィルは若干精彩を欠く出来映えだった。少しずつかつての素晴らしい音が失われつつあるようだ。次第に聞くに値しないオケになってしまうような気がして心配だ。これについては若干危機感を感じているのだが、どうなるのか…全く先が見えない状況である。とりあえず昨日の出来映えはまあまあと言ったところか…。

終わってからyurikamomeさんのお宅で少し「反省会」をしてから、朝香バンドの鳴り物担当のママのお誕生パーティーに皆で出席し、結局深夜まで飲み続け帰宅。しばらく身体を休めないといけないなと、つくづく自分が若くないことを思い知らされた(笑)。
でも、楽しい楽しい一日を送ることができたのは、本当に自分が今、素晴らしい人たちに囲まれていることを実感!する次第である。朝香パパに詩を書いてもらい、私が曲をつけるという約束もした。編曲をうちの学生たちにやらせても良いかもしれないなと、今日音楽を聞きながら、ぼんやり考えていた。

昨日は皆様、色々とありがとうございました!!写真は昨日のボエームの演出家アンドレアス・ホモキ

が近々監督に就任すると伝え聞くチューリッヒ歌劇場。
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by Schweizer_Musik | 2010-03-28 16:23 | 神奈川フィルを聞く
矢代秋雄の交響曲を聞いてきた
昨日は神奈川フィルのコンサートに出かけた。前半はエドゥアール・ラロの「イスの王様」序曲と田村響氏のピアノによるショパンのピアノ協奏曲第1番である。ショパンは誰によるものかは知らないけれど、オーケストレーションはかなり変更されていて、よく響くものだったが、やはり曲が曲であるし、多忙の後の体調の問題もあり…言い訳です。私は夢うつつで聞いていたので、これについて書く資格はない。まっ、田村氏のピアノがなかなか良い響きで柔らかな木質の音だったのが気持ちよかった。
で、昨日のお目当ては矢代秋雄の交響曲。昨日はこれに尽きると思う。(田村ファンの皆様、ごめんなさい!)

名作なのに、なかなか聞く機会がなく、今日に至るが、昨日はそれがようやく適えられた。いや素晴らしい作品だった。CDでは聞いているので、曲はよく知っているのだが、生で聞くのはまた違っているし、それが神奈川フィルで聞けるというのが更に!であった。
一番良く聞くのが初演者でもある渡邊曉雄の指揮による1981年のライブだ。これは私がただ一度だけだが彼とお話できた年にあたる。それはともかく、昨日の下野竜也氏の指揮する神奈川フィル(コンマスはもちろん天才石田である)の演奏は抜群の出来映えだった。あれがCDにならないかな…などと思った。
打楽器が大量に使われていて、またその出来映えが大変重要な作品であるが、その点での昨日の神奈川フィルはまたまた完璧だった。
第1楽章の夜のミステリアスな雰囲気(私の勝手なイメージなので、信用しないで!)から第2楽章の祭り囃子と人々の賑わい、第3楽章は薪能のようなまたまたミステリアスで静謐な世界、、終楽章の絶叫に至る全てが楽しめた。打楽器奏者の間の良さ、歌うかのような第3楽章のアンサンブルは見事だった。日頃の鍛錬と個々の奏者の音楽的センスに驚嘆するばかりだ。
また木管の音が昨日ほど良いと思ったことはなかった。ソロが多く(それも難しい!)ある曲なのだが、本当に良い響き、豊かに鳴っていた。多少の事故はあるのが人間の世なので、それは捨て置けばよい。そんなことより、皆精一杯の演奏をしているのを聞きながら、ああなんて良い音楽なのだろうと思った。
まとめあげた下野竜也氏についても賛辞を呈したい。最後の作曲者への敬意と第2楽章のアンコールがあったこと、それだけでも現代曲などと難しがって聞きに行かなかった人たちを羨ましがらせるほどの感動と興奮が昨日のみなとみらいホールにはあった。

終わってからの飲み会も終演後の5時からはじまり、オーダーストップの11時前までノンストップで話し続けてしまった。こんな楽しい飲み会は神奈川フィルでは久しぶりだなと思った。いや、一昨年までは楽しい飲み会ばかりだったのだが、このところそうでなかっただけだ。

良い演奏会だった。私の記憶に長く残る、素晴らしい一夜だった。本当に行ってよかった!!
by Schweizer_Musik | 2010-02-14 09:44 | 神奈川フィルを聞く
神奈川フィルの定期で「ミサ・ソレムニス」を聞いてきた
昨日は神奈川フィルのミサ・ソレムニスの演奏会に出かけ、終わってから「勝手に応援する会」の「反省会」に出席し「午前様」で帰還した。「反省会」には神奈川フィルの客員チェリストの山本裕康氏もご参加頂き、親しく言葉を交わさせていただいた。
昨日のコンサートは音の鳴りは今ひとつのところもあったものの、先日の第九のような悲惨なものではなく、非常に充実した運びで金 聖響氏の面目躍如たるものであったことを一言言っておかなくてはならない。
大作であり、速めのテンポであったけれど、極端な速さには聞こえず、これはなかなか良いものと思った次第である。声楽、特に独唱者たちの素晴らしさには敬服するばかりで、難所も軽々と(ホントはそれどころではなかったろうけれど)クリアし、素晴らしい声を聞かせてくれた。合唱も途中倒れられた方もいてちょっと心配したものの、全体としては大変充実していたし、この水準というのは素晴らしいものだと感じた。何しろ先月の末に第九をやったばかりなのだから、アマチュアとしてはかな過酷な条件下であったと思われるが、それをあそこまで仕上げたことに敬意を表したい。
そしてベネディクトゥスでの石田氏の素晴らしいソロ!!あんなに素晴らしい演奏は色々聞いているけれどはじめて!!だった。いやあの瞬間は天国とはこんな響きに溢れているのではと思ってしまった。
ドンナ・ノービス・バーチェムあたりに至って、やや響きの腰の浅さというか、軽さは気になったものの、ある成果を聞くことができたと思う。対向配置の細かなやりとりというか、効果はみなとみらいの1階席の真ん中という素晴らしいロケーションで今回聞かせていただいたので、充分に楽しめた。
こんな良いコンサートの後であるから、「反省会」は久しぶりに楽しい会話に弾み、神奈川フィルを愛してやまない面々の心も穏やかに、我らが町のオーケストラの名チェリストをお迎えし、本当に楽しい時間を幹事長の差配の元、過ごすことが出来たことに、深く感謝を捧げたい。
何度もくり返すが、寒い日だったけれど、心は温かく、素晴らしい一日だった。
by Schweizer_Musik | 2010-01-17 18:20 | 神奈川フィルを聞く
第258回定期演奏会
前回に続いて定演に行ってきた。今日は長原幸太氏がコンサート・マスターであった。いつも天才石田のコンマスに慣れている私としては、やや残念であったが、なかなかの才能の持ち主と聞いた。ただ、客演のコンマスでは石田のレベルにはとてもいかず、前半はいつもの神奈川フィルのクオリティには至らず…少々残念。それは指揮のマルティン・トゥルノフスキーのせいとも言い切れない、どこかピントが合っていないような…なんともよくわからない感じだった。
というわけで、前半のウェーバーの「オベロン」序曲、そしてフランシス・グトンのソロによるドヴォルザークのチェロ協奏曲は退屈してしまい、私は幽体離脱をくり返していた…(笑)。(何故不満だったかわからないのは、このせいとも言える)
ただ、私の今日のお目当てというか、このコンサートに行こうと思ったのは後半のマルティヌーの交響曲第4番であった。そしてそれは充分に満足させられた。
全4楽章を高い集中力で聞かせたそれは、さすが神奈川フィルである。若いコンマスもよくやっていたが、これからもっと経験を積んで、美しい音、アンサンブルへがんばっていってもらいたいと思う。確か、大フィルの若き首席コンマスとして名前は知っていた。
帰って、マルティヌーの交響曲第4番を聞き返し、こんな面白い曲だとはCDをたった二枚しかもっていない私は、知らなかった。まだまだ不勉強な私である。さて、午後をこれに使ってしまったのだから、ちょっと今から仕事…である。忙しい日々が続く…。
by Schweizer_Musik | 2009-11-14 18:58 | 神奈川フィルを聞く
今日は神奈川フィルのイギリス・プロの日
朝から仕事をこなし、夕方、香港行きの航空券の申し込みにちょっと大船まで出かけ、そのまま神奈川フィルのコンサートを聞いてから急いで帰り着いて、続きを少し書いたところ。これ以上やっても無駄なので明日早く起きてやることにしよう。
神奈川フィルのコンサートはオール・イギリス物で、エルガーの魅力あふれる序曲「コケイン」にはじまり、ヴォーン=ウィリアムズのオーボエ協奏曲、そしてエルガーの交響曲第1番。
石田氏がコンマスに座り、それなりの指揮者がやった神奈川フィルのコンサートはいつもながら素晴らしい出来映えで、「コケイン」は本当に素晴らしいの一言!!だった。指揮の湯浅卓雄氏はヘンテコなテンポや無理な表見を強いるような愚は絶対にしない。常識的で、平凡かもしれないが、私はこういう誠実な演奏がとても好きだ。スコアにちゃんと書いてあるのだから、それをきちんと鳴らせば良い音楽になるはずと確信を持っているようにも思う。いや良い演奏だった。オケの管楽器群も今日は満点をあげたい気分になった。(いつもは辛口なのだけれど…)
実はこれだけが目当てで行ったのであるが、さすがにこの素晴らしい演奏を聞いてしまっては忙しくて早く帰りたい気を抑えて続くオーボエ協奏曲を聞くことに…。
オーボエ協奏曲では神奈川フィルの水も滴る弦楽アンサンブルに管打コン優勝者の渡辺克也氏がソロをとっての演奏だった。指揮は湯浅卓雄氏。いや、この曲ってこんなに良い曲だったんだと思った。
オーボエの音は神様と崇めているローター・コッホの音色には敵わず(そりゃ無理だ…)、ややささくれだった音ではあったけれど、反応の良い演奏で、とても気に入った。しかし、そのバックの神奈川フィルの美しいことと言ったら…。今日のみなさみらいホールは、昨年の神奈川フィルのコンサートと違い、ガラガラだったが、こんな良い演奏を聞き逃して皆もったいないことをするなぁとつくづく思った次第。
後半のメイン・ディッシュはエルガーの交響曲第1番。私はブラームスのピアノ協奏曲第1番とともに名曲と大いに認め、尊敬はするが、苦手な曲。今まで退屈しなかったことがない…。どんな良い演奏といわれるものでも、この曲に関しては駄目なのだ。
今日も素晴らしい演奏で、神奈川フィルと湯浅卓雄氏に心から敬意を表するのに吝かではないが、やはり駄目だった…。ごめんなさい!
今日はyurikamomeさんたちは来ていたのだろうか?探したけれど、1階席ではなく3階席だったので、お会いできず、「反省会」にも出られないで急いで帰ることになった。お借りしていたCDも持って行ったのだが…。
しかし、このコンサート、チケットを某オークションで落札したのだけれど、安かった…。ホントに良い買い物だったと思う。これからも神奈川フィルは時間が許せば行かなくては…。できれば「反省会」にも出席したいのだが…(笑)。良いコンサートの後のアフター・アワーズでの一杯はやはり格別!これもコンサートの内?なのだから、ちょっと今日は残念だった。
さてもう寝ます。明日は早いので…。
by Schweizer_Musik | 2009-10-08 23:20 | 神奈川フィルを聞く
神奈川フィルのコンサート
昨日の朝、学校へ出かけたところ、なんと乗ったJRの車両の冷房が壊れていて蒸し風呂状態。一本後の列車に乗り換える時間的余裕もなく、学校に着いて授業を行う。
ゴードン・ヤコブの「管弦楽法」の最初の弦楽合奏について簡単に説明し、作品制作に入る。
午後からは休講で(クォーター末の音だしのための休講である)ついでに打ち合わせで神楽坂の方に出かけ、終わってすぐに帰宅。汗だくの状態だったので、一度帰って湯を浴びて、すっきりしたところで今度はみなとみらいへ。
神奈川フィルの定期公演で、サッシャ・ゲッツェルの指揮である。個性的な指揮ぶりであるが(ちょっと若い頃のバーンスタインに似ている)よく聞くと極めて伝統的な解釈で、実に音楽的。
私は前半のモーツァルトの弦楽のためのアダージョとフーガハ短調で魅了されてしまった。ステージ寄りのバルコニー席であったので、ちょっと分離が良すぎるきらいはあったけれど、細部までゲッツェルの意志がよく浸透したキビキビとした演奏で立体的な構造がよく表現されていた。聞きながら、このアダージョがバロックのフランス風序曲の様式に則ったものであることに気づいたりしていた。
フーガは少し速めのテンポで、フランス風序曲という解釈をゲッツェルは徹底させとしていたように思われる。
続く同じくモーツァルトのモテット「エクスルターテ・イウビラーテ (踊れ、歓喜せよ)」K.165(158a)は森麻季さんのソプラノで演奏される。ここで木管楽器と小さなオルガンが弦楽合奏に加わる。
森さんの歌はスープレットの典型で、あと一歩、声が通らないなと、ちょっと不満もあったけれど、この美しい音楽を神奈川フィルのあまりに美しい演奏とともに聞けただけで満足…であった。アレルヤと歌う可憐な歌声は、やはのこの曲がスザンナなどを歌う若いスープレット歌手にこそ合ったものであることを今回も印象づけたものであった。
ちょっとオケが鳴ると聞こえなくなってしまう歌を、慎重に支えていくゲッツェルと神奈川フィルは、バランスにとてもよく留意されていたと思う。あの声質でもうちょっとよく通ると良いのだけれど…。

後半はマーラーの「巨人」。オーソドックスで(指揮の姿は斬新だけれど…)細部にまで指揮者の意志のよく通じた演奏であった。私はこの曲の実演はロクな演奏に接していないので、今回のはベストだった。若杉 弘氏の演奏が良かったとか聞くとちょっと羨ましくなってしまう。
しかし、昨日の演奏はとても良い演奏だった。はじめ、pppを要求してあまりに指揮を小さな動作にし過ぎて、アインザッツが見えなくなっていて、木管などはずれまくっていたけれど、次第にピントが合ってきて、第1楽章も後半になると快調な演奏でとても良かった。
第2楽章以降も、快調な神奈川フィルとゲッツェルに圧倒されるばかりで、いつもは長すぎるという思いにかられる終楽章も、あの美しい響きとアンサンブルでやられるともうただただ魅了され夢心地となってしまう。
若い指揮者だから、この颯爽とした指揮は、大変魅力的!更に音楽の解釈が伝統的で恣意的な解釈で、個性を主張しようなどという愚かしいこととも無縁である。
実に気持ちの良いコンサートだった。

ところで、この巨人。ベートーヴェンの第九の裏返しのような曲だという話を後の反省会でした。あまり共感をえられないことかも知れないが、もう少し説明しておこう。
ベートーヴェンの第9の第1楽章の冒頭は5度のゴソゴソという低音の持続音の上に5度でE-Aという燦めきのようなモチーフの提示ではじまる。
マーラーでは弦のフラジオレットによる高音の持続音にのって、木管楽器がA-Eとゆったりと二分音符ではじめる。第九の行き方を全部逆にしたらこうなりましたというような出だしなのだ。
第2楽章にスケルツォ楽章を配する構成の共通性はもとより、ベートーヴェンではA-A-Dのオクターブ下降と4度上行で動機が出来ていたのに対して、マーラーはE-Eの上行の跳躍ではじめ、それにのって4度上行からテーマをはじめている。
第3楽章ではベートーヴェンはD-Aと4度下降ではじめるが、この動機をマーラーはティンパニーのD-Aのオスティナートにして、その上にフランス民謡のフレール・ジャックというメロディーを短調にして鳴らしているのである。
ところで、昨日の演奏会ではこの部分、私の持っているスコアではコンバスのソロになっているのだが、コンバスのアンサンブルで演奏していた。yurikamomeさんのご指摘で私は気づいた(なんという体たらく!!)が、ゲルギエフが指揮したロンドン交響楽団の録音やハイティンク指揮シカゴ交響楽団のライブ盤などでコンバス合奏ではじめるが、果たしてどうか…。いくつもの版があるという楽譜の内のどれかがこうなっているのかも知れないが…。
さて、終楽章は似ているというか、ベートーヴェンの第九の逆をやるとこうなるという見本のようなものであるが、終楽章冒頭のなだれをうって下降するトゥッティの音だけでも自明であろう。
第1楽章のテーマも第九の「歓喜の歌」と似ているところもあるが、偶然なのかどうか判断に迷う。もともとは「さすらう若人の歌」であるから…。
とにかく、マーラーがいかにベートーヴェンを意識していたか…。ブラームスやブルックナーだけでなかったのだ。

さて、いつもの反省会は今回は私の教え子たち3人も加わったので、ずいぶん大人数となり、楽しい夕べとなった。
帰りは結局午前様となり、今朝は大寝坊だった。今日は休む…。

コンサートでナクソスでマーラーの「巨人」はどれが良いかと聞かれたが、スデーニェク・コシュラーと答えてしまった。今朝、ナクソスにアクセスしてクラウス・テンシュテットのロンドン・フィルハーモニー管弦楽団とのライブ録音があることに気がついた(ライブであまり音はよくないが…こちらからどうぞ)。
他、ミヒャエル・ギーレンのもの(これは一緒に入っている愛ブスの「夕暮れのセントラルパーク」が良い)や、オトマール・スウィトナーの名演があるので、このあたりを聞かれてはいかがだろうかと思った次第である。
by Schweizer_Musik | 2009-07-11 10:22 | 神奈川フィルを聞く
神奈川フィルの定期
昨日は神奈川フィルのコンサートに出かけ、色々と考え、色々と話し、たくさん飲んで、食べて…帰った。
以前に金 聖響氏が神奈川フィルに客演したのを聞いているが、常任となって私ははじめて聞く金 聖響と神奈川フィルの演奏会となった。
私の今回の関心事は、武智由香氏による新作の初演を聞くことであった。
その作品「オーケストラのたのEaux Lumieres Temps」は、「声明」や雅楽などの日本の伝統的な語法を自らの語法へと消化し、新たな創造へと結びつけた大変な力作であると思った。
ただ、こうした作品(最近とても多い感じがするが…)は、日本の雅楽や声明に西洋的な対比などが無いこともあり、どうしても平板に陥るところがあり、それをどうオーケストラの変化で補っていくかということに関心が移る。
そのあたりを武智氏は見事に描いてみせていた。特殊奏法による微妙な彩りがロングトーンを彩っていくのはなかなかに美しい聞き物だった。
第2部(だと思うが)の冒頭で、木管のソロが一つのメロディーを受け継いでいくところなど、とても美しく感じたし、決して平板に陥ることなく聞かせていたと思う。
金 聖響氏はよくオーケストラをまとめていたと思うが、はじめての作品なので細かいことは私にもわからない。
続いてのハイドンの「軍隊」は前の曲とちょっと整合性の欠く選曲で、どういう意図なのか測りかねたが、快調なテンポで聞かせていた。
それにしても、いや若い!!若いエネルギーの横溢を聞いたと思う。それは迸るようで心地よいものであった。ただ第1楽章は序奏から速すぎるというか、上滑りしているようで惜しい。もっと多くのことを語っているはずの作品が単調になってしまっているのは、彼の若さ故なのかも知れない。
このテンポを作品から受け取っている金 聖響氏の感性は大切にしつつも、それが聞く者を納得させる表現にまで確立されるには、まだ少々時間が必要なようであった。
ただ、武智氏の三管編成、+打楽器4、ハープ2にピアノ、チェレスタという大編成の後にハイドンでは、舞台転換に時間がかかり(ステージ・マネージャーは大変だっただろうな…)、演奏会としてはどうかと思う。私はあんなに待たされるのはちょっと辛いなぁと思った。

後半はワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」より「前奏曲と愛の死」とドビュッシーの「海」が演奏された。
めくるめく愛と死の恍惚の後に海の情景が広がる。それには「ペレアスとメリザンド」というピースが欠けていたけれど、19世紀の呪縛のようなワーグナーの半音階進行に対してのアンチテーゼであったドビュッシーの「ペレアス」、そしてその交響的展開となった「海」に聞こえる「トリスタン」の谺…がよく設計されていて、そうした意図をもって選曲されたとしたら、なかなかの策士だと思う。
ワーグナーもまた速めのテンポで快調に盛り上げている演奏だった。ややせかせかとした感じを受けるのは前半のハイドンのせいかもしれないが、速めのテンポで少々一本調子。ここはもっと様々な手練手管を使ってめくるめく世界に連れてってほしいところだが、少し若さ故の一本調子で攻めてしまい、聞きながら私はちょっと醒めてしまった。決して悪くはないが、もっと色々とスコアの行間を読んで欲しいなと思う。
私の不満はタメの浅さというか、プレスの浅さが原因ではないかと思うが、これは彼の中で更に熟成していくのを待ちたいと思う。才能豊かな指揮者の音楽的成長をこの神奈川で聞くのも大変楽しいことではないかと思う。
ドビュッシーではオケのメンバーにやや疲れが出てきて、神奈川フィルらしくないミスがチラチラと聞こえて来たが、こんなフル・マラソンをするようなプログラムなら多少割り引いて考えないと、ちょっと気の毒であろう。
一直線に進んでいくので、「風と海の対話」はちょっと痛い…(笑)感じ。耳タコの曲だけに、ちょっとした「間」とかがサッと通り過ぎてしまうのは、少しもったいない気がした。
恐らくは、後半のプロならば、現田茂夫氏が降ればもっと上手かっただろうなと思うが、はつらつとした金 聖響氏もまた魅力的だと私は思った。
これから…なのだ。
アンコールでドビュッシーの小組曲から「小舟にて」が演奏されたが、無くても良かったかなと思った。フル編成でするよりももっと小編成で透明感のある響きが身上の曲だからだ。しかし、フルートは上手かった。
弦をはじめとして神奈川フィルの音は、シュナイトさんの頃に比べて、響きが軽くなった。とは言え、美しいアンサンブル、美しい弦の響きは健在であった。チェロの山本氏もいるし、天才石田氏もコンマスの席に座っている。彼がアンサンブルの要となって今日も素晴らしい仕事ぶりであった。彼らがいる限り、このオーケストラの美しい響きは変わるものではないのだろう。うっとりする弦のセクションに、今回も魅了された。
終わっていつもの「勝手に応援する会」の「反省会」に出席。第1バイオリンの方も参加され、マチネで4時には終わったはずなのに、なんと九時半まで活発な議論が交わされ、神奈川フィルの明るい未来を心に描きつつ、家路についたのであった。
いや…よく飲んだものだ…。話しすぎて声が嗄れてしまった。皆様どうもすみません…。
by Schweizer_Musik | 2009-06-28 03:38 | 神奈川フィルを聞く
神奈川フィル、シュナイトの最後のコンサート
今日は、数々の素晴らしいコンサートを聞かせてくれたシュナイトと神奈川フィルの最後の音楽堂でのコンサートに出かけた。
最後はよほど体調が悪かったのか、万雷の拍手に答礼もなく終わり、その後車椅子に乗って、舞台そでから軽く手をあげてくれたシュナイト氏であった。彼の体調が酷く心配されたが、その後は回復したとの情報を得て一安心だった。
今日はマエストロの体調が悪く、色々と大荒れのコンサートとなったが、今まで私たちに数々の名演を聞かせてくれたことを思い、会場に来ていた人たちは皆、感謝の気持ちで巨匠との別れを惜しんだのである。
楽員も必死でコンサートを作り上げた。終わって楽団の関係者に両脇を抱えられて舞台を降りたシュナイト氏は精も根も尽きた感じであった。コンマスを石田氏をはじめ、楽員全員がマエストロのコンサートに献身した。その姿に私は胸が熱くなった。ご一緒させていただいたyurokamomeさんをはじめとするみなさんも同じだったに違いない。
緊迫したコンサートを聞きながら、私はあのシュトラウスの最後の4つの歌や、ベートーヴェンの一番、ブラームスやシューマンの交響曲など数々のシュナイト氏による名演を思い出していた。
出会いがあれば、いつかは別れがあるのが世の習いとは言え、寂しいことは寂しい…。
ありがとう!マエストロ!!ありがとう、神奈川フィル!!

終わってから、いつものように飲んでたった今帰り着いたところである。楽しいお酒だった。今後はこの機会が少なくなると思われ、少々残念だが、仕方がない。
ご一緒させていただいたみなさん、ありがとうございました!!

シュナイト氏と神奈川フィルの録音は2005年の音楽堂シリーズ以降は大体ライブ録音が残されているようで、それらが出てくるのを首を長くして待つことにしたい。(もちろんすでに何枚かは出ているが…)
その他に、ナクソスにもいくつかの録音がある。一覧できるページがあったので、こちらでどうぞ。
by Schweizer_Musik | 2009-05-16 23:21 | 神奈川フィルを聞く
遅ればせながら、神奈川フィルの定期、ブルックナーのテ・デウム
もうだいぶん前のことのように思うけれど、まだ先週の金曜日のことである。神奈川フィルの定期でシュナイト氏の演奏会を聞いてきた。
曲目はブラームスの「悲劇的序曲」と「運命の歌」と「哀悼の歌」が前半で、後半がブルックナーのテ・デウムであった。神奈川フィルハーモニー合唱団はそこそこの出来映えで、前半はオケ作品である「悲劇的序曲」をのぞいて少々危ないところもあった。特にソプラノのパートの音程が目立っていたけれど、ほかもかなり厳しい状態のところがかった。
しかし、この滅多にコンサートで聞くことの出来ない2作品を実演で聞くことが出来たのは幸いであった。ブラームスは合唱指揮者として長く日々の糧を得ていたこともあり、合唱音楽は彼のホームグラウンドだったから、その作品が交響曲などに比べて、あまり聞く機会がないのは仕方ないこととはいえ、残念に思っていただけに、このプログラムを神奈川フィルハーモニーで聞くことは、そして浜ッ子のマエストロ、シュナイト氏の指揮で聞けることはすばらしい体験であった。
先日の川崎でのブラームスのドッペル・コンチェルトに続き、至福の時間を過ごせた。合唱団の育成が今後の課題だろう。
後半はオルガン奏者と四人のソリストを迎えてのブルックナーとテ・デウム。ああ凄いことが起こってしまったとしか言うしかない事態にここで立ち至ったのである。
神への賛美を歌い上げるこの作品を、シュナイト氏はじっくりと、そして壮大に響かせた。神奈川フィルのすばらしさは絶品だった。合唱団も力の限り歌い上げ、オルガンは鳴り渡った。
四人のソリストはすばらしい出来映えで、この奇跡をさらにすばらしいものにするのに寄与した。石田氏のソロは涙がでるほど美しく、この天才をこれからもぜひ神奈川フィルで聞きたいものだと思った。
長い曲なのに、あっという間に終わってしまった。またしても封印の曲が増えてしまった…。オイゲン・ヨッフムがベルリン・フィルと録音したものを愛聴してきたが、しばらく聞く気にもならず…である。
終了後、レセプションがホールのロビーであ、シュナイト氏の退任の挨拶などがあったが、一同、ぜひまた神奈川フィルを振ってほしいという気持ちでいっぱいだったことだけは間違いない。
感動の夕べを終え、午後10時になっていたけれど、このまま帰れるわけがなく、関内のいつものところに「勝手に応援する会」のメンバーは移動し、反省会を行ったのである。
白熱した議論の内に、私はなんとか最終電車に飛び乗り、帰還した。
のいつものところに「勝手に応援する会」幹事のyurikamomeさんをはじめ、みなさま、ありがとうございました!!幸せな夕べでした!!シュナイト氏と神奈川フィル、石田氏に乾杯!!
by Schweizer_Musik | 2009-03-17 11:07 | 神奈川フィルを聞く