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ヴェーグ指揮のアイネ・クライネ… 凄い!!
作曲者 : MOZART, Wolfgang Amadeus 1756-1791 オーストリア
曲名  : セレナード ト長調「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」K.525 (1787)
演奏者 : シャーンドル・ヴェーグ指揮 ザルツブルク・カメラータ
このアルバムは こちら

いや、なんて美しい曲、そして演奏なのだろう。若い頃はよく聞いたけれど、次第に聞かなくなっていた。何故だかわからないけれど、ブルーノ・ワルター指揮コロンビア交響楽団のステレオ録音に出会って、もう一生分聞いた気になっていた。
でもこんな良い演奏の可能性があったのだということに驚くとともに、このヴェーグの天才に心から敬意を払いたい。
冒頭から完全に引き込まれてしまった。ちょっと聞きかじって別の音楽を聞いてみようと思っていただけなのだ。でも1楽章を聞き始めて、今終楽章。そろそろアンコールをお願いしようか…。
表現が細かく、丁寧。そして音楽的。なんといっても声部の受け渡しが実に上品。古典の音楽はこうしたアンサンブルの細かな出し入れがきちんと出来ているかどうかがとても大切なのだけれど、この演奏の素晴らしいのはそうしたことを実に上品に、そして不足を感じさせないバランス感にあるのではないか。
弦は多少きつめの音だけれど、この演奏の価値を減じるようなものではない。
この演奏を聞きながら、弦四版のアイネ・クライネを思い出していた。そう弦四の室内楽的な反応の良さ、声部間の感応を感じるのだ。言い換えれば弦四の演奏を弦楽アンサンブルにそのまま拡大したようなところがこの演奏の魅力というべきか。
表現が少し大きいのもそのせいだろう。ピリオド楽器風の演奏とは基本が全く違う。結果的にちょっと似たところがあるということだろう。
調べてみると、1986年10月の録音だそうだ。ヴェーグも歳をとっていたはずだが、この演奏の若さはどうだろう!いや良い演奏だ。
アンコールの前にザルツブルク・シンフォニーも聞いてみよう。これも良さそうだ…。


追記
ザルツブルク・シンフォニーの変ロ長調を聞いた。聞いてビックリ。何がって演奏は素晴らしいのだけれど、優美な第1楽章でなく第2楽章から演奏されているからである。
新しい版では1楽章と2楽章が入れ替わった形が正しいのだろうか。最近、この曲のCDを買ったことがないのでわからないけれど、ネットで調べてもこのことに言及している記述は見つからず。
ご存知の方がおられたならば、ご教示いただければ幸甚です。
by Schweizer_Musik | 2008-12-09 09:48 | ナクソスのHPで聞いた録音
マイナルディとゼッキのベートーヴェンのチェロ・ソナタ全集
作曲者 : BEETHOVEN, Ludwig van 1770-1827 独
曲名  : チェロ・ソナタ 第2番 ト短調 Op.5-2 (1796)
演奏者 : エンリーコ・マイナルディ(vc), カルロ・ゼッキ(pf)
CD番号 : TOWER(Grammophon)/PROA-141〜2

若いベートーヴェンのチェロ・ソナタを二人の巨匠による演奏で聞く。エンリーコ・マイナルディはイタリアのチェロの巨匠。あのペレーニに先生でもある。
1897年生まれでこの録音時で58才か59才だったと思われるが、最も充実していた頃の録音とも言えよう。モノラル時代の終わりにはこうした隠れた名盤が多い。ステレオで録音されたものに置き換わっていく中で忘れられていったもので、今になって聞くと忘れるにはあまりにもったいないものが多いことに驚く。
ピアノがゼッキというのも嬉しいことで、草津音楽アカデミーで指揮をしていたのが懐かしい。クララ・ハスキルがロンドンで録音したベートーヴェンの4番の協奏曲で共演したのもゼッキだった。
彼は1920年頃にイタリアでピアニストとしてデビューしており、ピアニストとしても高名で、ローマの聖チェチーリア音楽院のピアノの教授を長く務めたことでも知られている。
ピアノのCDは二枚ほどあったと思うけれど、どこに行ったものかちょっと探し出せなかった…。
しかし、ここでのエンリーコ・マイナルディと丁々発止とかけあうところはなかなか面白く、チェロの響きの良さ(なんて品の良い音なのだろう…)とともにピアノに心が動いてしまう。
ベートーヴェンの若書きのこの作品を相応しい力感と高い品位を保って二人は見事に演奏している。フルニエとケンプによるパリでの録音が私は好きなのだけれど、このマイナルディとゼッキの録音も大変楽しめた。名作には名演がたくさん…。目移りしてちょっと困る…(笑)。
by Schweizer_Musik | 2008-12-08 09:19 | CD試聴記
冬の夜の慰めに (33) 故廣瀬量平氏を偲んでポータラカを
作曲者 : HIROSE, Ryohei (廣瀬量平) 1930-2008 日本
曲名  : ポータラカ (1972)
演奏者 : 上杉紅童(recorder),雨田光弘(vc),篠崎功子(hrp)
CD番号 : RECORDO_DENON/OW-7844-ND

先日、実家に帰っていた時に、作曲家廣瀬量平氏が亡くなられたそうだ。私は完全に社会と途絶した環境にいたので、そのことを全く知らなかった。
昨日だったか、新聞に「偲ぶ会」を行う予定とあったため、調べたらC型肝炎から肝硬変、そして肝不全となって亡くなったとあった。残念なことである。
私が大阪芸大に入学した年に、京都市芸の教授に就任された。我が家からはとても通えなかったので検討もしなかったのだが、かなり残念に思ったことは事実である。
まぁ、素晴らしい作曲家がそのまま素晴らしい先生であることなど、極めて稀なことなので、今となっては行けたとしてもそれが私にとって良かったのかどうかはわからないが。
しかし、1970年代、彼は私にとってのスターだった。

混声合唱組曲「海の詩」や混声合唱組曲「海鳥の詩」もこの頃はじめて聞いたけれど、さすがに映画やテレビ・ドラマの音楽などで幅広い活躍をしていた彼らしい親しみやすい響きの中に独特のセンスがキラリと光るものだった。
私は、廣瀬量平の音楽と言えば「パーラミター」や「ポータラカ」、あるいは「ブンダリーカ」などといった1970年代はじめに書かれた室内楽作品の新しい領域を探求した作品群が強烈で、大学に入り立ての頃にはかなり意識して聞いていたものである。(生意気な学生だった…先生!すみませんでした…)
なかでもアルト・リコーダーとチェロ、ハープのために書かれた「ポータラカ」は衝撃的だった。リコーダーのくせに重音奏法やハープのポルタメントやチェロの胴を叩くなどとても刺激的だった。
この録音でチェロを弾いているのは、関西では大変有名なチェリスト雨田一孝さんのお父さん。猫がヴァイオリンを弾いていたりチェロを弾いていたりするグッズを見かけた方は多いだろうが、その作者である。
チェリストとして活躍した後、彫刻家のお父さんの影響からか、美術の才能を開花させ、こちらの方で有名となり、すっかりチェロから離れてしまわれたようだが、この数少ない録音の一つ。これがなかなか素晴らしいのも特筆すべきだろう。
リコーダーではかなり有名な廣瀬量平氏らしく、NHKの「笛はうたう」という番組の音楽も彼が担当していた。ここで演奏している上杉紅童氏のダイナミックな演奏もまた素晴らしい!!
ハープの篠崎功子氏を知らない人はいないだろうが、彼女のここでの演奏も特筆すべきもので、こんな素晴らしい演奏で作品が世に送り出されるという幸せを廣瀬量平氏は体験していたのだ。
1960年代半ばから1970年代にかけての日本は、邦楽器の再発見が流行していた。その頂点が武満 徹の「ノヴェンバー・ステップス」だったと私は思っているが、それはともかく、廣瀬量平氏もそうした流れの中から1976年に「天籟地響」という伝統楽器の大アンサンブルのための作品が書かれたりもしたのであった。
それをとりあげようかとも思ったのだけれど、1971年のチェロ協奏曲を聞き、そして大学の頃によく聞いた「ポータラカ」に落ち着いた次第だ。
この時期、廣瀬量平氏は東洋思想にかなり傾倒されていたのだろうか。梵語などがタイトルになっているものが多くある。たしかにそれも1970年代に流行ったことも事実である。
いずれにせよ、彼は私の学生時代のスターの一人であり、先端を走っていた作曲家の一人だった。ご冥福をお祈りしたい。
by Schweizer_Musik | 2008-12-08 08:06 | (新)冬の夜の慰めに…
冬の夜の慰めに (32) チャイコフスキーの劇音楽「ハムレット」
作曲者 : TCHAIKOVSKY, Pyotr Il'yich 1840-1893 露
曲名  : 劇音楽「ハムレット」Op.67bis
演奏者 : ジェフリー・サイモン指揮 ロンドン交響楽団, ジャニス・ケリー(sop), デレク・ハモンド=ストロード(br)
CD番号 : CHANDOS/CHAN10108X
このアルバムは こちら

激しい幻想序曲版もあるのだけれど、ここでとりあげるのは劇音楽の方。シェークスピアの方は、高校生の頃に読んだだけで、以来、すっかり遠ざかっているけれど、そんなことはロクにわからなくても、この音楽は充分に楽しめる。
かわいいファンファーレを挟みながら、チャイコフスキーの美しいメロディーが次から次へと紡がれていく様は、第一級の音楽である。グリーグの「ペール・ギュント」やビゼーの「アルルの女」など劇音楽で有名になった作品は数多いけれど、このハムレットももっと有名でも良さそうなものだけれど、世の中不思議なこともあるものである。
1891年の作曲・初演というから、「くるみ割り人形」の後に書かれたのではないだろうか。いずれにせよチャイコフスキー円熟の筆になるものである。
歌あり、充実したオケの小品あり、軽い場面の伴奏もあったりする。時々交響曲に使われた素材の木霊が聞こえてきたりして、知的好奇心もいささかくすぐられたり、いや楽しいのである。
ジェフリー・サイモン指揮ロンドン交響楽団と私はあまり存じ上げないけれど実力派らしい歌手たちのの演奏は、このあまり親しいとは言えない作品と、はじめて出会う者にとって大変優れた演奏で応えている。
チャイコフスキーのなんとももの悲しい響き、歌い口に心が締め付けられるような思いで、5幕への間奏曲のように第5交響曲のようなクラのメロディーに弦の重々しい行進曲のリズムの伴奏に、遠く、シューベルトの「冬の旅」の冒頭の音楽の寒々とした世界を聞くのである。
バリトンの声にもう少し品があれば…ああこれだけの演奏なのに文句を言っては罰が当たる…。寒い夜長に、昔買ったシェークスピアの本をちょっと取り出して読みながら、この曲を聞いてみよう。
by Schweizer_Musik | 2008-12-07 21:36 | (新)冬の夜の慰めに…
今更ながらのベートーヴェンの交響曲全集ですが…
作曲者 : BEETHOVEN, Ludwig van 1770-1827 独
曲名  : 交響曲全集
演奏者 : オイゲン・ヨッフム指揮 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
CD番号 : UCCP-3293/7

この全集を最近購入したものの一つだけれど、クリュイタンスの全集と比べられる唯一の全集ではないだろうか?何と言っても1960年代後半のロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団は無敵だ。このオケのアンサンブルの美しさ、奏者の水準の高さはもう神懸かりである。ハイティンクの録音の数々も、このスーパー・オケあってこその名演であった。(ハイティンクが凡手であると誤解なきよう…)
そのオケが最も元気だった時代の代表的な録音と言えば、ハイティンクとのマーラーとブルックナーの全集であろう。ブルックナーは1970年代終わりから再録音をはじめたが、これはもう決定盤というべき名演が並んでいるが、残念なことに、ウィーン・フィルやベルリン・フィルという他流試合で、全くつまらない結果を残してそのままとなってしまったのは痛恨の極みであろう。
まあ、それはともかく、このベートーヴェンの全集である。なんと良い演奏なのだろう。
第1番は一年あまり前だったと思うが、シュナイト氏指揮の音楽堂シリーズでとてつもない巨大な演奏に絶句したけれど、あれを別にすれば、このヨッフムの指揮で聞く第1番は最高級の名演だろう。
全体に1970年代後半、このコンセルトヘボウ管との全集から10年ほどたったロンドン交響楽団との全集と解釈はほとんど変わらない。
第九の第1楽章冒頭のテーマがクレッシェンドしていく過程でホルンを強奏させるなど、特徴は共通している。
しかし、オケが違うのだ。ロンドン響も良いオケだけれど、天才クレバースやマヒューラ、ブルワーザーなどが在籍していたコンセルトヘボウ管は当時最強だったのだ。もう比べる相手が悪すぎる…。
ヨッフムのこの前に録音したモノラル混在の全集からすれば、このコンセルトヘボウ盤は完成度という点で長歩の進歩がある。
解釈は同じでも、一曲一曲時間をかけて練り上げた完成度の高さが、フィリップスの優れた録音陣によって実現されている。
ロンドン響盤では細部の仕上げがちょっとルーズなところもあったりして、評論家たちが賞めているわりに、私とは大して感心せず、CDもどこかにやってしまったままであるが、このコンセルトヘボウ管との録音はそれとは別次元の出来なのだ。
「田園」の嵐の場面は完璧だった。この効果こそベートーヴェンの意図したものだと確信する。大量に持っているベートーヴェンの交響曲の全集の中でもこのヨッフムの全集は、クリュイタンス、セルなどのものとともに、私にとってかけがえのない1セットとなりそうだ。
聞き終えたらオークションか中古屋にさっさと売りに行くつもりでいたのだけれど、永久保存に一挙に格上げとなった次第である。
市場にあるうちに見かけたなら、ぜひ購入をお薦めしたい。
今、第8番にはいったところ…。いやなんて良い音楽なのだろう!!!
by Schweizer_Musik | 2008-12-06 21:01 | CD試聴記
オーケストレーションの課題の作例
昨日のオーケストレーションの授業で行った編曲の実習の作例をあげておく。
アメリカの作曲家マクダゥエルの「森のスケッチ」から第7曲「リーマスおじさんの話から "From Uncle Remus"」をまず行ったが、細かい音符が中心のフレーズは二管のユニゾンでなくソロにして、フレーズの自由さを促していることに留意されたい。
拡大配分でのトゥッティは一カ所だけで、他はほぼ原作の通りにアレンジしている。
音はこちらの「管弦楽法・授業作例」のフォルダにある。原曲はナクソス・ミュージック・ライブラリーのこちらで聞いてみること。
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続いて、ラフのカヴァティーナを行った。伴奏と音域の関係、特に配置に留意しないと、そのままスコアに写していくと、音楽にならない。そのあたりを授業では説明したが、スコアは配布していないので、各自この作例と自ら実施した編曲とをよく比べてみること。
音は同じこちらの「管弦楽法・授業作例」のフォルダにある。
原曲はこちら
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9:42追記
前回の授業で行ったグリーグの「妖精の踊り」の作例もこちらの「管弦楽法・授業作例」のフォルダついでにいれておいたので、必要ならば参考にどうぞ…
by Schweizer_Musik | 2008-12-06 09:23 | 授業のための覚え書き
パレーのシューマンの交響曲全集を聞く
作曲者 : SCHUMANN, Robert Alexander 1810-1856 独
曲名  : 交響曲 第1番 変ロ長調「春」Op.38 (1841)
演奏者 : ポール・パレー指揮 デトロイト交響楽団
CD番号 : TOWER(Mercury)/PROA-247〜8

今日のこの演奏のシューマンの交響曲全集がタワー・レコードから届いた。早速聞いてみて、パレーらしい力強い演奏を楽しんだところである。
しかし、ポール・パレーのドイツ・ロマン派って恥ずかしながら聞いたことがない(協奏曲などを除けば…)。さぞ良いだろうと思ってはいたけれど、シューマンを聞いてみてその思いは強くなった。
残響というかアンビエンスは抑えられていることもあって迫力はあるけれど、もう少しゆったりと聞きたい気もしないではない。
しかし、この張り詰めた集中力は確かに名演だ。私は最近、若い頃のムーティの演奏でも楽しんでしまったので、巷の評判ほどには感動したとは言えないけれど…。
まぁ、それほどムーティの演奏が良かったということで、私の周りにも多い熱烈なパレー・ファンの矛先をなんとか躱してしまいたい気分ではある。
大体、パレーは速めのテンポでぐいぐい引っ張っていくのが魅力である。このシューマンでもそういう演奏となっている。それが力強さというか、彼の演奏のテンションの高さに繋がっているのではないだろうか?
彼の演奏で忘れられないのはドビュッシーの「海」だ。次いでベルリオーズの「幻想交響曲」、イベールの「寄港地」やルフェヴールと共演したラヴェルとシューマンの協奏曲などが浮かんでくる。
そこに共通するのはこの強さというかテンポの気持ちの良い快調さなのだ。オケは多少音程が怪しかったりして、多く持っているデトロイト交響楽団とのマーキュリー盤の出来は、最高のものとは言い難い。それは録音のデッドなことにも影響されているのかも知れないが、このシューマンでもそうしたマイナス点は相変わらずである。

しかし、こうした問題点があったとしても、このシューマン全集は一聴に値する名演であることは間違いないだろう。爽快なシューマン。私はこれを聞いて、彼が指揮したハイドンのロンドン・セットやベートーヴェンの交響曲全集、あるいはブラームスなんて聞いてみたい気がする。望むべくもないが…。

ああそれにしても、シュナイトさんの演奏を聞いていなければ…。そして大好きなムーティの全集の後でなければ、更にこのパレーの演奏を楽しめたに違いないのだが、シュナイトの絶大な演奏では無敵の神奈川フィルであり、このCDのデトロイト響は(現在の神奈川フィルに)遠く及ばない。
このオケにちょっと石田氏あたりを貸してあげれば、数年でよくなるかも知れないが(笑)。チェロに山本氏あたりも配置しておかなくてはならないだろう…(大笑)。
いかん、関係者以外にはわからない話を書いてしまった…。
by Schweizer_Musik | 2008-12-04 22:15 | CD試聴記
冬の夜の慰めに (31) トヴェイトのピアノ協奏曲 第4番「北極光」
作曲者 : TVEITT, Geirr 1908-1981 ノルウェー
曲名  : ピアノ協奏曲 第4番「北極光 "Nordljos"」Op.130 (1947)
演奏者 : ホーコン・アウストボ(pf), オーレ・クリスティアン・ルード指揮 スタヴァンゲル交響楽団
CD番号 : BIS-CD-1397
このアルバムは こちら

北の地の秋から春にかけての光を表現したトヴェイトのこの作品は、親しみやすいモードを使い、極めて独創的なオーケストレーションによるとても面白い曲であり、安心して広くお薦めできる。

ピアニストとしても有名だったトヴェイトのこの作品は1947年に二台ピアノとオーケストラの作品として1947年に完成し初演された。そしてその2年後、一台用に書き直されて作曲者自身のピアノで初演され、その時の録音も残っているそうである。
しかし彼の作品の多くは、1970年に火災で焼失したため(ほぼ8割が失われたというから、ほとんど全てと言っていいほどである)、この作品も残された二台用のスコア(これだけ残っていたそうだ)と古い初演の時の録音からクリスチャン・エッゲンが再現したものだそうだ。
作曲者自身のスコアが永遠に失われてしまった現在、トヴェイトの作品を甦らせようという関係者の努力には頭が下がる。二台用のオーケストラのパート譜が残っていたことで、この作品の復元は比較的容易だったのではないだろうか。
言い換えれば、作曲者の意図がよく再現されているのではないかと思う。曲は以下の3つの楽章から出来ている。

第1楽章 北の光は秋の彩りの上で目覚める "Nordljoset vaknar yver hausfargane"
第2楽章 冬の空で輝く、そして… "..det glitrar op vinterhimlen og.."
第3楽章 春の明るい夜に消えてゆく "..siglar burt i vårnatti."

私の大好きなのは第2楽章。スル・ポンティチェロの弦楽のさざめくような響きが、透徹した厳しい寒さの彼方にきらめく星々を連想させる。
ピアノは無窮動に動き回り、実にユニーク。時折その無窮動な動きが止まるところはオーロラの輝きなのだろうか?
演奏も素晴らしいものである。ホーヴァル・ギムセとビャルテ・エンゲセト指揮ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団の演奏もとても良いので、お薦め。私はわずかにこのアウストポの演奏を上に置いているが…。
師走の空に輝く星々も乾燥した空気のせいか、またたく光が明るく感じられる。鎌倉ではオーロラの輝きを見るのは絶望的だけれど、星々の美しさはほんの少しだけだけれど味わえる。
極地ではすでに夜の季節なのだろう。こんど日の出を見るのは二月頃なのでは?それまでひたすら美しい夜空にオーロラの輝きと星々の煌めきとともに北極圏に住む人々は過ごすのだ。厳しい自然に対し、この音楽のなんと美しく力強いことだろう!!
この季節に聞くのには相応しいのでは?
by Schweizer_Musik | 2008-12-03 06:55 | (新)冬の夜の慰めに…
仕事がようやく一段落…
先日から取り組んでいた作品がようやく一段落した。約十分ほどの曲だけれど、小品が七つ集まっただけのものなので、大作というわけではない。というよりかなり気楽に書いた小品集だ。
いつかここで公開することもあるかも知れないけれど…。ということで懸案の変奏曲の作曲に戻ることとしよう。明日からは変奏曲にシフトを移すこととする。私としては充実した師走となっている。サックスのアレンジも終わったので、特にあれこれとやっておかなくてはならないものも大体終わったことになる。
今日は、楽譜の印刷でちょっと手間取り、郵送に時間がかかってしまったけれど、データ送付ですむようになるともって有り難いのだけれど、そうはなかなか行かないのは、音楽業界のIT化が遅々として進まないからだろう。
大体、某大学では作品の提出がFinaleなどのプリント・アウトでは不可なのだそうで、頭の悪いオッサンたちのやっかみ程度にしか思えないレベルだ。
今でもそうなのかどうか知らないけれど、つい最近までそういう話を聞いていたから、大して変わっていないのではないだろうか?そんなことで世間で通用する音楽家が育つとは思えないけれど、大学がそれだけ世の中の流れから立ち後れているとしたら…。
まっ、Finaleで作れる程度の作品では不可というのならわかるのだけれど…。

下らない話はこのくらいにして、今日ぐらいはゆっくり過ごそう。今朝、カール・ベームのブルックナーとともにiTuneで購入したキーシンのベートーヴェンのピアノ協奏曲全集でも聞きながら、ゆるりと過ごすことにしよう。
昔、モスクワに行った時、音楽院のホールで前の席に座っていたのが彼だった。まだあどけない青年というより少年だった。その前年だったかカラヤンとのチャイコフスキーの協奏曲のCDを聞いたはずで、その頃からしたら随分大人になった(当たり前だ!)。
共演はコリン・デイヴィス指揮ロンドン交響楽団。これでつまらなかったら事件である。いやさすがに上手い!!
この全集が1500円。パッケージがないとは言え、ホントに良いの?と聞きたくなる。pdfで英文の解説もついている。良い買い物だと思った。
by Schweizer_Musik | 2008-12-02 22:38 | 日々の出来事
ベーム指揮バイエルン放送交響楽団によるブルックナーの第7番
作曲者 : BRUCKNER, Anton 1824-1896 オーストリア
曲名  : 交響曲 第7番 ホ長調 (1881〜83,ノヴァーク版)
演奏者 : カール・ベーム指揮 バイエルン放送交響楽団
CD番号 : Audite/AU95494

この人類の宝のような名曲にはたくさんの名演が存在しているだろう。まだレコード批評なるものを当てにしてLPを買っていた時代に、FM放送でこの演奏が放送され、聞いた時のショックは大きかった。
カール・ベームと言えば、モーツァルトやシュトラウスの演奏ですでに当時の私にもお馴染みの存在だったけれど、その彼が振ったブル7のあまりの名演ぶりに驚いたのである。
このおかげでレコード・アカデミー賞をとった第4番を買う気になったように思うが、あまりに昔のことなので、ちょっと心許ない…。
しかし、何度かこの演奏の海賊盤に手を出して痛い目にあってきた私にとって、この正規盤が出ていたとは…。
昨年の夏の発売だそうだけれど、私は今朝、iTunestoreで知った次第。早速ダウンロードして聞き始めたけれど、あの日の感動を思い出していた。
1977年。まだベームは元気で張りのある演奏をしていた。晩年、誰が指揮しているのかわからなくなった「カール・ベーム指揮」などとは全く別物である。
同じ頃にウィーン・フィルとこの曲を録音していて、もちろんそれも持っているけれど、それよりもずっと良い。オケの反応の良さは絶大で、カール・ベームが大きくテンポを動かすところも自然についていくアンサンブルも見事である。
それに録音が良い。ミュンヘンのヘラクレスザールの残響をたっぷり取り入れた録音は、それでいて決してデティールがぼやけたりはしていない。
iTunestoreにアクセスして購入できるなら「買い!」である。こんな良い音楽をほうっておく手はない。わずか1200円。CDなら中古で売れるけれど、データは売れないからこんなものだろう。パッケージがない分、安くなっていると考えればよいのだろうか。
朝っぱらから…と思ったけれど、これを聞いて天国の気分を味わったところだ。
こんな名演に対して、あれこれ申し述べるのは失礼だ。ただただ感謝しつつ感動に浸っている。
ちょっと第2楽章あたりのアンコールをお願いしよう!
by Schweizer_Musik | 2008-12-02 09:27 | CD試聴記